サルでもできる

 さるでも出来るイタリア旅行

オードリー気分の8日間
改め

ジ プ シ ー 気 分 の 8 日 間

 

1996.1.2~1.29

岡崎志津子
吉沢 雪子
土田ゆかり

 

エマニエルⅱ

ROMA
NAZIONALE
PIAZZA MONTECITORIO 131 ROMA 00186
TEL 39-6-678-9251
FAX 39-6-678-6677

 

 

 

1月22日(月) 晴れ

 

成田

 

 

AM8:00 JR大船駅
哀しいかな貧乏性の私。出発の2時間前までには成田に行かなくてはと思い、朝早く大きなスーツケースを持って、大船駅に向かいました。

ひざにアザを作りながら階段を上がり、カウンターのオヤジに「次の成田エクスプレス……」と言ったら「満席です。」

ひっひどい!でもこんなに大きな荷物を持って通勤電車には乗れない……世間の皆様も許してはくれまい。あぁ……立ったままでも成田エクスプレスに乗れるのだと、私はこの日初めて知ることとなった。(ゆきこ)
 

AM10:00 成田第一ターミナル
成田に着くと、すでに“しーちゃん”が到着していた。前回のコリアンツアーのときの分までも取り戻せそうな早さだ。親方の登場まであと1時間もある。

私たちは早速旅行保険に加入しようとカウンターを捜した。東京海上はすぐにみつかった。でも私はAIUじゃなくっちゃ嫌だった。インフォメーションのお姉さんに聞いたら地下だというので、そこまで行った。保険代は、9,000円だった。荷物をほっぽってそのままフラフラしていた。日本は安全でいいよね。緊張感のない私たちである。(でも後日、しーちゃんは何処に行ってもそうなんだと、実感することになるのであった。)
11時くらいになると“ちんみ”が登場した。ちんみが来ないとチケットもないし、ホテルの名前さえ知らないので手も足も出ない。もう班長さんが来たから百人力だー!!
しかし、飛行機のチェックインのときにすでに事件は起こっていた。どうやら混んでいるらしい、3人並んで座ることができないうえに、私の荷物はもう制限の20Kgを越えていたのである。『重い物は買わないようにしよう!』心に深く誓う私であった。 (ゆきこ)
 

AM11:00 成田第一ターミナル
しーちゃんと雪ちゃんはもっと早くきていたみたいですが、ちんみはわがままなので、ボヨヨンと11時に到着。荷物を押しながらふらふら歩いていると、二人に発見される。すでに行動パターンは全員分かり切っているので、何の苦労もなく集合できる。
さて、搭乗手続きとなりましたが、「3人並んで座れる席はない、今日は満席状態」といわれ、しーちゃんは禁煙席へ、雪子とちんみはめでたく喫煙席を入手、はっぴぃー。しかし、やっぱりもっと早く来ないと希望のシートがとれないのね。これもびんぼーエコノミーのつらさでしょうか。次回は事前に席をキープするコネクションを確保しましょう。(ゆかり)
 

AM11:30 出発の前に

成田空港
 

税関を通り抜けると、ちんみは頼まれ物の化粧品、私は忘れてきたファンデーションを買った。その間にしーちゃんはもういない。あれほど順子さんに「しーちゃんを一人にしないでね。」と言われていたのに……見ればシャネルですっぴんの顔にチークをつけてもらっている。「どうか?」と聞かれても素顔にチークだけじゃわからない。が、お気に召したご様子でお買いあげ。「こっちもつけて」と両方の頬につけてもらっていた。すでにすっかりオードリー気分。「今回のおこずかいは5万円だよ」と私たちに言われたしーちゃん、イタリアに着くまでは計算に入らないと決めたらしい。(ゆきこ)
 

ゲートから順子ばーばに電話。
「行って来るよー」
後日談ではあるが、順子さんはこのとき思わずホロッときてしまったらしい。そうだよなー、言い出しっぺだもんなぁ。(ちんみ)
 

スパッツ待合室に着くと、ちんみはもうコーラとフランクフルトを手にしている。

しーちゃんは、ウエストをハサミでバチバチ切ったスパッツにお召し替え。

私は変なカップルの会話を聞いて(成田離婚になるかもな)っと思う。(ゆきこ)
 

さすがアリタリア。AZ789便 ミラノ経由ローマ行き PM0:20発。定刻どうりには出発しません。
 

PM1:20  AZ789便離陸
さて、アリタリア、「まずい、少ない、乱暴」と三拍子そろったサービスぶりで、がっかり。 機内の99%は日本人。1%はアリタリア職員。乗務員も乗客も、マナーが悪くて機内はゴミだらけ、機体はガタガタいうし、次回は乗りたくないなぁという感じ。

私が最初にイタリアにいったときもアリタリアだったんだけど、こんなに悪いイメージはないので、さぞかしエアライン・ランキングで人気が下降していることでしょう。
しーちゃんは隣の新婚カップルといろいろ話し込んでるし、ちんみは隣の山形チームのオヤジに
「寒いですかね~?」
「日本語は通じますかね~?」
「腹こわしたりしませんかね~?」
「買い物するならミラノの方がいいですかね~?」
と質問責めに。彼らの予定表を見せてもらうと、
「ミラノもローマもブランド買うなら同じですけど、この予定じゃ、ローマのこの半日しか自由に買い物する時間なんかないですよ」
という気の毒な行程でした。

あっそれから、今彼らのホテルの位置を確認しました。ボルゲーゼ公園の右奥、やっぱり城壁の外、お気の毒です。(ちんみ)
 

無事、搭乗する。乗ってしまえばイタリアに着いたも同然。だが、隣の席は子連れ、時々おたけびをあげる子どもを見て先が思いやられる。成田は滑走路が1本しかないそうで、なかなか飛ばない。「ちきしょー!」この時間があればもっと寝ていられたのに……。
それにしても、アリタリアのスッチーは愛想が悪い。機内食だってひどいもんだった。つらい、つらい。やっぱりヨーロッパは遠いなぁ。映画を見たり、本を読んだりしても、あーまだ7時間しかたってない。
しーちゃんはといえば、新婚旅行のカップルのジャマをしてニコニコしている。写真まで一緒に写ったらしい。でも、おみやげ用にと狙っていたトランプはもらえなかった。
ちんみの隣のオジさんたちは、ツアーで山形から来たという。「だから寒さは平気だ」…….北イタリアの寒さを甘くみているようだ。イタリアのことをちんみにいろいろ聞いている。さすが班長さん、オヤジ相手にめんどーみがいい。(ゆきこ)

 

ここからイタリア時間 PM5:00  ミラノでトランジット
機内の乾燥で、喉はカラカラ、顔はバリバリ、「つらいよ~」というところでミラノに到着。
出発の遅れを取り戻し、ミラノには定刻に到着。やればできる。
運良く50分だけトランジットで機外に出れるということになりにこにこしてでてみたものの、ショップは一軒も開いておらず、BARが一軒開いてるだけ、
「アイスが食いたいよ~」
「メロンが食いたいよ~」
でもそんなものありゃしない。
「メロンはともかく、なぜ、ジェラートがないの、許せない!」
しょんぼりすごすご機内へ戻りました。(ちんみ)
 

それにしても、あぁ……つらい、つらい。が、なんとかミラノに着いた。飛行機から降りられたのは嬉しいけど、ビンボーな私達を待ち構えていたかのように、免税店はお休み。BARは開いていたけどジェラートはなし。しかも、しーちゃんと私はリラをまったく持っていない。このあたりから‘メローネ’をうわごとの様に繰り返すことになる。
ここからローマまではわりと近い。クルーも変わったようだ。PM7:20が定刻だから、ほぼ時間通りにローマに到着。やればできる、アリタリア。結局、機内で使ったイタリア語は“アランチャ”と“グラッツェ”だけだったように思う。(ゆきこ)
 

BAR:バールと発音。いわゆるバーとはちょっと違う。イタリアやスペインにおけるBARとは、日本でいえば‘アルコールもあるドトール’みたいなもんだ。日本と同様、安くてうまい。チェーン店ではないけれど、みんなにたようなもんだ。
‘食料のみのセブン-イレブン’ともいえよう。夜遅くまでやっている。ビンボー人には強い味方。今回の旅でも、たびたび登場。

 

PM7:20  ローマに到着
到着して、税関を通る。ハンコを押すどころかパスポートの表紙を見せればOK.日本人はフリーパスなのだ。楽勝、楽勝。お出迎えはカワイイ男の子のはずだったのに、名前の書かれたプレートを持っていたのはオバさんだった。
預けていた荷物のチェックもなしに外にでる。さすがいいかげんな所に来たなという感じ。

市内までは、高速道路。ALITALIAアリタリアのネオンが一つ消えてALI  ALIA アリアリアになっている。

時々オバさんが外を見て説明してくれるが、誰もわかっちゃいない。勝手に「わぁー」とか「はぁー」とかいってる間にホテルに到着。

運転手さんに重い荷物を運んでもらっても、カワイイ男の子じゃないからと、チップも渡さぬ私達。
“日本人がみんな金持ちだと思ったら大まちがいだぞー!!!”(ゆきこ)
 

いかさないおばさんが迎えに来ていました。いかさない車にギューギュー乗せられ、横目でリムジンを見ながらホテルへ。

このおばさんにチップは必要ないね。(ちんみ)

 

PM8:30  ホテルに到着
部屋最初に案内され(お姉さん自分のホテルの部屋がどこだか解らず、道に迷いながら)行ってみると、「いいじゃない、ここなら私たちだけだもん」という廊下のどん詰まりの部屋(220号と221号)。
「O.K. THANK YOU」
とお姉さんを帰してあらためて221号に入ってびっくり、どう見ても誰かが使っている様子。
フロントにとって返して訴えると、「あら、そうね。ごめんごめん」と軽い対応で隣の部屋(219号)の鍵をくれた。
しかし、「どうしてもあの奥の部屋がいいなぁ」と思い込んでしまった私たちはこのままおさまりません。
またまたフロントにとって返し、
「219号は気に入らない。違う部屋にしてくれ。」
「そうすると、同じフロアの近くに部屋は取れないよ」
「じゃあ、221号はいつになったら開くんだ」
「明日になれば開くよ」
「じゃあ今晩は219号で我慢するから、明日になったら221号に変えてよ」
「O.K.」
ということを恐ろしい英語で会話しながら商談成立。(ちんみ)
 

チェックインして部屋へ行くと2つのうち1つの部屋には荷物がある。
私達の荷物はまだロビーのはず、「誰のだ?!」…..
そう、別の人が使っている部屋の鍵を渡されてしまったのだった。
文句を言いにフロントへ行こうとしたら、エレベーターを1つ間違えて降りてしまいフロントに着けない。その間にちんみがフロントに行き「私の友達知らない?」と聞いて「知らない」と言われたらしい。
やっぱり韓国に続き、部屋のクレームは班長さんにお任せ。別の部屋に通してもらった。
でも、さっきの部屋の方が広い。見てしまったものはガマンできない。
明日は空くというので、変えてもらえることになった。
さすがは班長、男らしいぜ!(ゆきこ)
 

PM9:00 ローマの夜
部屋もやっと決まり満足したところで、ホテルの周りを散歩。
もうとっくに店は閉まっているのでウインドーにおでこをひっつけて「かわいいね~」とかいいながら歩き、BARで念願のアイスクリームを買い食い。ついでにジュースと水も買い込み、にこにこしながらホテルに帰る。
しかし、ここで頭が日本モードのままで、イタリアモードに切り替わっていなかった私たちは大失敗。ガス入りの水を買ってきてしまったのであります。あぁ反省。
なんとなくおなかが空いた私たちは、しーちゃん持参のウルトラおにぎりを食べて寝ました。(ちんみ)
 

夕食はしーちゃんが持ってきた、高級なオニギリをいただくことになった。
さっそくBARに水を買いに行く。近くにBARがあるとお離れの冷蔵庫みたいで便利だ。アイスとジュースと水を買ってホテルに戻る。が、お湯を沸かすと変なものが浮いている。
そうだ、この水はガッサータだったのだ。でも、できたオニギリはおいしい。
ビンボーモードの旅行らしい楽しい夕食をすませ、私達は寝ることにした。
…..と、ここまで書いてまだ1日目だということに気付いた私。あとどれくらい書けば、一週間分終わるのだろう? (ゆきこ)
 

ガッサータ:炭酸入りのミネラル・ウォーター。黙って水をくれというとほとんどこのガス入りが出てきてしまいます。炭酸とともに、やたら石灰分が多いです。 ミネラル・ウォーターはアクア・ミネラーレ。したがって、「アクア・ミネラーレ・ ナチュラーレ」もしくは「アクア・ミネラーレ・センツァ・ガス」と注文しましょう。
レストランで注文するときも同じです。

 

 

 

 

1月23日(火)曇りのち晴れのち小雨

 

サンピエトロ

 

 

AM9:00 ALBERGO NATIONALE の朝ごはん
このホテルはパンがおいしくてラッキー。イタリアにおいてこのパンの味はラッキーであると、イタリア経験者の雪子とちんみがしーちゃんに説明する。
思えばこれが、「いらっしゃいませ志津子様モード」の始まりだった。(ちんみ)
 

まずは、ホテルで朝食をとる。
さすが4つ星、1級ホテル。バイキング形式でパンやハムなどがある。全部タダなのだろうか?
皆の胸に不安がよぎる。今日はチャレンジャーとなり、いろいろ食べて試してみよう。
パンとチーズとハム。うん、これくらいは平気なはず。ラスクやヨーグルトはどうだろう?くだらない事でいちいち盛り上がる。なんてイベント向きな私達。カメリエレが飲物の注文を聞きに来た。まずは、やっぱりカプチーノでしょう。
パンはアリタリアの100倍おいしかった。
ひょっとすると、この感動を味わってもらうつもりで、わざとマズイ機内食を出しているのだろうか?
ケーキ一瞬、オレンジソースがかかっている抹茶ケーキを食べて、「おいしい」と言っていた山形のオジさんの顔が浮かぶ。しまった、アリタリアの思うツボだ。
ヨーグルトに書いてあった謎の“マグロ”の文字以外、平和な朝食となる。
さあ、朝のミーティング会場に移動しよう。(以後、朝食後には毎日ミーティングをすることになる。なんのことはない、たばこを一服しながら、今日はどこに行くか決めるだけだ。) (ゆきこ)
 

マグロ:magro 正しくは「マーグロ」と発音。脂気がないとか、やせたとかいう意味。したがって、低脂肪のダイエット・ヨーグルトと思われる。決して「ツナのヨーグルト」ではない、念のため。

 

AM9:40 バスに乗ろう
とりあえず、ヴァチカンへ行きましょう、すぐそばにバスのターミナルがあるからバスでね。
とりあえず、お金を両替しなくっちゃと、銀行を目指すが、途中で両替屋を発見。
ぐうたら揃いの私たちは、レートだけ見て「ここでいいじゃん」となってしまいました。
ちゃんと見たら結構手数料を取られていて、やっぱり銀行へ行かなきゃね。と反省。

ホテルを出て、雑誌を売っているスタンドでローマの地図と、バス路線図を買い、できないイタリア語で 「バスの切符をちょうだい」 いや違うな 「きっぷ」 の一言だな。とお兄ちゃんに訴えると、「バスの切符はここじゃ買えない、タバッキにいきな」 と英語で返される始末。
「え~ん、タバッキなんかないじゃん」 といって歩いていると、
「あっ、メガネがない!」 とちんみ気がつく。
「さっきの兄ちゃんのとこじゃないの」 といいながら戻るけど見つからない。
「ホテルまで戻ろう」 というみんなの言葉を聞かずに 「いいの、実は私は過去二回ともイタリアでメガネをなくしているの。これはイタリアでの通過儀礼なの」 と言って取り合わず。
ちんみの性格を解りきっている二人はあきらめる。
とか何とかいっているうちにバスターミナル。
なんだ切符の販売機があるじゃん。
ここでちんみは大嘘を並べて 「回数券があったはずだ」 と言い張り、「カルネという単語がついていたはずだ」 とかなんとか言いながら 「これだ、これだ」とボタンを押す。
これがまたこの販売機、さすがイタリア。お札がなかなか入らない。撫でたりさすったりようやくお札を飲み込んでくれて一枚買える。
しかし、なぜ一枚しか出てこないんだ?
回数券なんだから10枚ぐらいは出てきてくれないと…というところで、雪子とちんみは初めて 「あー、これ一週間チケットだあ」 と気がつく。
それからは不思議なことに 「これが1回券で、これが1日券で、これが1週間券だ」 と見事に解読してしまった。なぜ、最初に気がつかないかなぁ。
で、とりあえず1週間券一枚と、1回券2枚を買って案内所のオヤジと
「ヴァチカン」
「シクスティ・ツウ」
という見事な会話を交わして、バス乗り場を探し当てる。バスを待つ間も銀製の小物を売ってる店にへばりつく。ほらほら62番のバスが来たぞぉ。乗るよ!

乗ってみたらすごーく混でてぎゅうぎゅう。スリの心配も一瞬したけど、悪人面は見あたらないので、まあ大丈夫でしょう。
しかし、ご多分にもれずイタリアのバスも停留所の名前はいってくれません。
いい気になって景色を楽しんでいると、おいおいあれは、目的のヴァチカン、サン·ピエトロ寺院ではありませんか。
「降りなくっちゃ」 と降りますボタンを押してはみたものの、正面入り口を過ぎ、脇の道まで行ってやっと止まりました。(ちんみ)

 

今日は、バチカンに行くことになった。もちろんTAXIなんて使わない。バスだ!
まず、バスの路線図を手に入れよう。でも、その前に両替をしないといけない。
銀行に行こうとしていたのに、ついフラフラと近くの両替所にはいる。
とりあえず、5万円ずつね。
両替をすませ、大金持ちになった私達は、路上のスタンドでAtoZを買い、S.シルベストロへ。
あぁぁぁぁ!
ちんみがメガネをなくしてしまった。道には落ちてなさそうだし、おおちゃく者ぞろいでホテルに戻ろうとするヤツもいない。仕方がないな。
何事もなかったかのように進み出す。
あっ、バスのチケットはどこで買うんだろう。TABACCHERIAなんてないゾ。
自動販売機には何が書いてあるかわからない。
てきとうに買ってみると、回数券のはずが一週間券だった。
まぁいいや、一週間いるもんね。
でも、ビンボーモードに入っている私達、あとの2枚は1回券を買った。

次は乗り場を探す。どんなところでもオヤジは私達の味方、あっちだと教えてくれた。
バス停にたどり着くまでに、いろんなお店がある。全然、前に進まない。
やっと着いたと思ったら、目の前には銀屋さんがあってもうくぎづけ。まるで、ピップのネックレスのCMのよう。
来た、来た、バスが来た。
ドカドカ乗り込むと、日本人なんて一人もいない。そりゃそうだ、普通は観光バスかTAXIだろう。
サン・ピエトロが見えてくる。ずいぶん人が降りたなーと思っていると、ひとつ乗り越したようだった。でもまあ、ヴァチカンに着いた。
苦労して手に入れたチケットは誰も見てくれなかった。 (ゆきこ)
 

タバッキ:TABACCHERIA 街のタバコ屋。なぜかここで、バスや電車のチケットも売っている。たぶんローマの交通機関は、みんな公営なんだろう。かつて日本でもタバコと塩が一緒に売られていたのと同じ理由だと思われる。

 

AM10:30 サン・ピエトロ広場 PIAZZA SAN PIETRO
広場6マイダーリン・ベルニーニによる見事な教会前の広場です。4本の円柱が一直線になって1本に見える中心点を探し、記念撮影です。(思えばこの頃はまだ観光客気分でちゃんと写真撮ってましたねぇ)中央のオベリスクのところはクリスマスの飾り付けの後かたづけをしていました。ツリーのてっぺんの星が欲しいよと一瞬思いましたが、あんなでかい物もらって何の役に立つんだとあきらめました。(ちんみ)
 

広場2

しーちゃんを真ん中にはさみ、ちんみと私がホントだかウソだかわからないような説明を始める。怪しいガイドみたいだ。
イタリア人は仕事が遅いので,X’masの飾りをまだタラタラとかたしている。ちんみはツリーの上の大きい星を欲しがっていたが、あの星が地上に降りてくるのは、いつの日のことだろう。(ゆきこ)

 

広場お茶

ここまで来ておきながら、教会の前に「お茶飲もうよー」となるのが私たち。またまた前の道に引き返し、茶屋を探すが頭に浮かべていた店は休みで、イスもないBARでコーラとしーちゃんはなんだたっけ?紅茶かな?を買って、外のベンチで飲む始末。

いよいよびんぼーモード入りましたね。その前に順子ばーばへのはがきを買って、このベンチで書いたのでした。(ちんみ)
 

それからお茶。ミスドはないけど私達にはBARがある。が、イスはない。カップを勝手に外に持ち出して、観光バスがブンブン通るのを見ながら、路上のベンチでお茶。オードリー気分ではなく、ジプシー気分。(ゆきこ)

 

AM11:15  サン・ピエトロ寺院 BASILICA DI SAN PIETRO
やっとこさ、教会へ到着です。ここはまあ、何というかでかすぎて説明もできません。
ちんみの独断と偏見によるベルニーニの作品のみの解説にあいなりました。
しかし、彼の作品はこの教会の要ともいえる物ばかりなので、大丈夫なはずです。
一応ミケランジェロのピエタもちゃ~んと地下で本物を見ましたしね。
(と思っていたが、今はこっちがコピーらしい。)
びんぼーモードの私たちに合わせてくれたのか、 教会のおみやげ売店はもう“キューソ”
CHIUSOで閉まっちゃってました。この先たびたびこの“キューソ”で苦しめられことになります。(ちんみ)
 

サン・ピエトロ寺院では、聖水もオデコにつけたし、足もなでた。
ちんみのすばらしい解説のおかげで、とても勉強になる。
しーちゃんは、デザインのパクリまでデッサンしている。
見て学ぶ。まさに、『見学』。(ゆきこ)
 

CHIUSO:キューソ。イタリアには昼休みの習慣がある。もともとは家に帰って家族と一緒に昼ご飯を食べて、休憩するためだったらしい。
今じゃ、昼休みに家に帰る人なんてほとんどいないと思うけど、この習慣だけはまだまだ残っている。休まない店も最近増えてきたようだが、まだほんのちょっと。
お店も、銀行も、教会も、美術館も、み~んな‘キューソ’してしまう。
あー、私達の時間は限られているというのに……。

 

広場20

さて、次はヴァチカン美術館だね。ここでちんみ少しイタリアモードに入ったと見えて、
「もしかしたら、午後から休みかもしんない。」
それなら朝から思い出せよな。でもやってるかもしんないからと、とりあえず美術館の前まで行くと、
「閉まってますよ」 と日本人の若いお姉さんたちが教えてくれる。
「あなた達も、また来るんだね。やんなっちゃうね」 と言うと
「私たちは、今見て出てきたところです」 こりゃ失礼。(ちんみ)
 

.....ハッと気がつく。美術館は午後から休みなんだ。先に見ておけば良かったね。後悔、役にたたず。一応行ってみたけど、やっぱり間に合いませんでした。(その間に焼きグリを買って食べた。)(ゆきこ)
 

しょうがないからご飯でも食べようと、近くのあれはなんでしょうね、BARでもないし、RISTORANTEではもちろんないし、PIZZERIAと書いてあったような気もするが、セルフ・サービスのようにあれこれ指をさしてトレーにのっけてもらって、自分で持って席を探して座って食べる。まあまあの味でしたね。(ちんみ)
 

PIZZERIAで食事をとる。食べ物の並んでいるのが見えると、注文しやすい。その上とても安くて、まあまあ美味しい。(ゆきこ)

 

PM2:00頃 コーラ・ディ・リエンツォ通り Via Cola di Rienzo
さぁ、そのあとはおまちかねの、Cola di Rienzoだ。
本屋と靴屋には魔物が住んでいると気がつくまでに、そう時間はかからなかった。
革靴なんて2,000円くらいだ。スタンザにウッピム、食材屋のカストローニ。お花屋さんではミモザまで買った。
本屋さんでは、若いお兄ちゃんをつかまえて、ちんみのダーリン、ベルニーニの本をさがしてもらう。
さすが5万リラ札にまでなったお方だ、ドカーンと重い本が出てきてしまう。
これじゃトロッポ・グランデでしょう。
しーちゃんは、さっそく変なポスターみたいなのやカレンダーをタダでもらっている。お得な人はどこにいてもお得ダ。
でも宝石の本はないと言われたという。いったい何語で聞いたのか、こんなに本があってないはずがない。
買い物をすませ外に出ようとすると、やっぱりウインドーに宝石が表紙に写っている本がならんでいる。さぁ、もう一度やり直し。今度はちゃんとでてきた。あるなら出せよ、最初から!
今日、私達は勉強した。
欲しい物があるときには、店員を外まで連れだし「クエスト」と言って指をさせばいいのだ。
学習能力のある私達は、靴屋でも本屋でもBARでもこの手を使うことになる。
ただ問題は、そんなことをやって一軒ずつ見て歩くので、先に進めないということだった。
両手に重い袋を下げ、くたくたになるまで歩いたが、全部で500mも進んでいなかった。
BARでお茶をしていると、とっぷりと日が暮れて雨まで降ってきた。
今日は贅沢にTAXIで帰ろう。じゃないと、この通りで朝を迎えそうな勢いだ。幸いにしてTAXI乗り場のすぐそば。
神のお導きでしょう。(ゆきこ)

 

スタンザにウッピム:両方ともイタリアのデパート。デパートというよりはスーパーだな。ヨーカ堂と西友みたいなものかなぁ。ジャスコほど大規模店じゃないんだ。日本でいったら小さい、でもイタリアじゃたぶん立派なスーパー。
衣料品と家庭雑貨と食料品を売ってます。

 

美術館には行けなくなったので、次は雪子のお気に入りの食材屋と靴屋のある通り、コーラ・ディ・リエンツォ通りへ
昼休みの時間なのでキューソの店がほとんどなんだけど、開いてる店もある。
どこもかしこもバーゲンで SCONTO スコント・割引の看板だらけ。ただでさえ安い靴屋が SCONTOのおかげで、29,500リラだの35,000リラだの並んでいる。
ちなみに100リラが日本円にして7円。10分の1にして0.7を掛ける、つまり29,500リラなら2,100円弱、35,000リラなら2,500円弱ということになっちゃいます。
てなわけで3人とも買いまくりました。
しーちゃんは靴とコーヒー、雪子はチューブ入りのトリュフと靴、ちんみは念願のベルニーニの本。その間たった一度お茶を飲んだだけ。
夕方、小雨がぱらつき始め、手がちぎれそうなちんみの「頼むから帰ろうよ」の言葉に渋々タクシーに乗り込む二人。
帰ってから地図を見て大笑い。なんとこの日の午後、この愛するコーラ・ディ・リエンツォを、私たちはたった500mしか進んでいませんでした。
靴屋と食材屋と本屋のはしごで500m。たっぷり4時間はいたことでしょう。
そーいえば途中でキューソの時間も終わって、店が全部開いてたしなぁ。

このときに「一週間もいるんだからねぇ」といって買ったミモザの花束。
イタリアでは年に一度ミモザの花を愛する人に贈る習慣があります。それに影響されたわけではないけど、贈ってくれる人のいない私たちは自分たちで買いました。
が、のちのちこのミモザには苦しめられることになります。(ちんみ)
 

トロッポ グランデ:troppo grande 「~すぎる」というときにはtroppo ~というふうに使います。この場合はgrande で「大きい」したがって「大きすぎる」となります。
この応用で、troppo picclo 「小さすぎる」、troppo caro 「(値段が)高すぎる」というのを覚えておくと便利でしょう。

 

PM7:00頃 HOTEL NAZIONALE
ホテルに帰ってフロントへ鍵をもらいに行く。
「これ、あなたのでしょ。私覚えていたのよ」
と夕べの間抜けなフロントのお姉さんに鍵と一緒にメガネを渡される。
あーそうでした。ちんみはメガネをなくしていたのでした。
もう忘れてました。どうやら朝ごはんの後、ロビーでたばこを吸っていたときにでも落とした様子。
変なギンドロ組の親分に見とれていたからでしょう。でもなんてハッピーなことでしょう。幸先のいいスタートです。(ちんみ)
 

ホテルに戻ると、フロントのお姉さんがキーと一緒にメガネを出してくれた。
メガネのことなんて全然忘れてたのでビックリ。朝のミーティングのときに忘れたらしい。ウソつきとドロボーばかりかと思えば親切、親切。
「アナタのメガネ覚えていたのよ。」 昨日、クレームをつけた時に印象的だったらしい。何が幸いするか、わからないもんだ。(ゆきこ)
 

ギンドロ組:毎朝、ホテルのロビーで見かけた怪しい3人組。親分ポジションのオヤジと、秘書のようなエッチなお姉ちゃん、お付きの若いモンという構成だ。こいつらが、毎朝ロビーにやってくる。ホテルに泊まっている様子ではない。すぐとなりは下院議会なので、議員の先生という見方もあるが、とてもそうは見えない。どう見ても3流マフィアだ。
ちなみに‘ギンドロ組’という名前は、ドラ・クエから拝借した。

 

PM8:30頃 夕食に出かけましょう
セッテミオ小雨もぱらぱら。近所でいいやね。と悪の名所で名高いパンテオン方向に歩く。
ここでいいんじゃない。とはいったレストラン。なんかいかさない姿の日本人の女3人。ここでいいだろうとばかりに入り口近くの席に座らせられる。
メニュウをながめている間にも、バリバリのイタリア人は奥の席に通される。
しかし、この席でよかったの。楽しかったの。店で働いている人たちが丸見えなの。間抜けな働きぶりが。

私たちが勝手に名前を付けたんだけど、じぃーと馬場、じぃーの娘とその婿のマルコ、この4人があーなんと説明すればいいんでしょう。すごーくおかしい。
じぃーというのは文字どおりの爺さんで、なんかたらたらスローなテンポでぐだぐだやっているだけで、あんまり役に立っていない。
馬場というのはしーちゃんがジャイアント馬場みたいだというので馬場と名付けられたが、その見かけとは裏腹によく働く男であります。でも、見かけや声が馬場なので、彼が何かを言うたびに私たちは声を殺して肩を震わせていました。
で私たちが勝手に娘と決めつけた女の子とマルコと呼ばれる男は仕事の最中にチューしちゃうようないかにもラテン系な、仕事ぶり。
「あーこの馬場さえいなけりゃよー。この店もすんなり俺の物なのによー。やべーよなぁ。じじいのやつ、ずいぶんこの俺様より馬場が気に入ってるみたいだなぁ。なんとかいいとこみせなきゃなぁ」
という彼の声が聞こえてきそうでした。
なんかあまりにもおかしくて、なにを食べたかちっとも思い出せないんだけど、初のレストランで、メニューを解読しようとガイドブックとちんみが持ってた虎の巻を見たんだけどちっとも解読できなくって、結局知ってるイタメシの単語でオーダーしたような気がする。
じい最後にじぃーが鼻をかんでいるところを振り向いて写真を撮ったら、
「なにやってんだ、こんなとこ写真撮るな、でも撮っちゃったんなら俺に写真を送ってくれ」
とじぃーに店のカードを渡され、
「店はわかったけど、じぃーの名前はなんて言うの?」と聞いたら、
「これが俺の名前だ」
と店の名前を指さされた。あーこのじぃーはこのレストランのオーナーなのでした。店の名前はSETTEMIOちなみにイタリア語でSETTEは7番目。MIOの意味は分かりませんが、きっと子沢山のイタリアのことだから
「七男ぐらいの意味なんでしょ」とまた大笑いの私たちでした。
それにしても、なにを食べたんだっけ?あんまりおいしくはなかったよね。でも、地元民ですごく繁盛してたんだよ。(ちんみ)
 

部屋に戻り、ちょっと休んで夕食に出かける。不良はやはりパンテオンに行かねばなるまい。
あてもなく出かけたが、レストランを見付け入ってみる。
へんな“じぃ”が案内してくれる。入り口に近い席だ。やっぱりキタナイかっこうしてるからだろうか?
ちんみは英語、私はイタリア語のメニューをみる。あーよかった、安い店だ。野生のカンはすばらしい。
しーちゃんは女王様だから、注文はお付きの者の仕事。
食べたい物の名前をかたっぱしから言ってみる。食べ物の名前は、日本のイタ飯屋と変わらないのでわかるのだ。
でも、オーダーをとりに来たじぃは英語がわからないらしく、自分の所のメニューなのに“ワイルド・マッシュルーム・サラダ”が理解できない。
フンギのサラダだと言っても、ないという。
イタリア人は理解できないときや、店にない物を注文されると「それは今、終わったんだぜ」とウソをつく、じぃもそうに違いない。だって、イタリア語のメニューにはそんなサラダのってなかったもん。
奥からジャイアント·ババのような男が出てきた。見かけただけで、笑えるヤツだ。
「ぱぁー」などと言って笑っていると、‘チョップ’のふりをした。でも、英語のわからない人が日本語などわかるはずもなく、ただの偶然であった。
ババがじぃに「あのシニョリーナはイタリア語が話せるよ」などと言っている。フフフ……話せるわけがない。ババは長谷川課長と同じように、早とちりだった。「グラッツェ」と言えばペラペラだと思ってしまうのだ。
ワインと水を頼むと、じぃは奥にひっこんでしまう。一度にふたつ以上は覚えられないようだ。まるで、コージが年寄りになったようである。仕方がないので、ちょっとずつオーダーする。しーちゃんと私はパスタを半分こ。じぃはちんみを見て「お前はそんなに食べられるのか?」という顔をしている。
カルチョーフォにカルパッチョ、ポモドーロのパスタとチーズのパスタ、….etc チーズのパスタは、パルミジャーノかと思ったらゴルゴンゾーラだった。失敗、失敗。
でもその他の物はまぁ、こんなものでしょう。味がどうこういうよりも、じぃをみているといちいちおかしい。大笑い、おなかがつりそうだ。
じい2ちんみはじぃが鼻をかんでいるところを記念撮影。じぃは大あわて、かなりきているオデコの髪をなでつけてみたり、笑顔を作って
「今は鼻をかんでいたんだぜ。」
というようなことを言っている。知ってるよ、だから撮ったんだもん。でも気の毒なので、もう一枚とってあげる。
よしよし、じぃもご機嫌だ。名刺をもってきて、ちんみに渡す。
店の名前は‘セッテミオ’、じぃの名前もセッテミオ、どうやらオーナーらしい。
イタリア人がお得意の、名前の由来を語り始めた。なんのことはない‘ななお’だ。7番目に生まれたそうだ。
食事が終わると今度はドルチェ。とても、とても本当に美味しいドルチェだというので、2つ頼んでみる。グリッリアといっているので、ケーキでも焼いたのだろう。
……出てきたケーキは確かにグリッリアだった。生クリームをはさんだチョコレートケーキを、そのまんま焼いてある。
なんだこれは!? 今までいろんなドルチェを食べたが、こんなのは初めてだった。
本当にスペシャルなオリジナル・ドルチェだ。が、ティラミスのように人気者になることは、まず、ないだろう。
じぃはグラッパのサービスをしてくれた。すごくきついお酒だけど、たくさん食べたあとなのでスッとする。うれしい。….だからといって、おかわりまでもってこられても、グビグビ飲めるお酒じゃないよ。

トイレに行って来ることにした。日本語にすれば「便所どこ?」ぐらいの言い方で、ババに聞いてみた。
するとババは「お嬢さん、洗面所でございますね。こちらでございます。こちらを右に曲がっていただいて左の奥でございます。」と、とても丁寧に案内してくれる。
……テレるぜ。その後しーちゃんもトイレに行ったが、電気のスイッチがわからなくて、暗いまま入ったらしい。

さんざん笑って満足したので帰ることにする。チップはちょっと多めにしよう。じぃはホッペをすりすりして、ごあいさつしてくれた。ちんみのことをたいそう気に入ったようだった。(ゆきこ)

 

帰り道、BARによって水を買う。ガス抜きといったのに昨日と同じボトルを出してきた。これはガス入りだから、ガスのないのというと、「ちょっと、ちょっとだけだ」という、ウソつきめ。でも、他にはないらしい。ガマンすることにした。あーーっ、本をじぃの店に忘れてきた。明日にでも取りに行こう。(ゆきこ)

 

PM11:00頃 やっぱり、やってしまうんだなぁ
戦利品の記念撮影。毎晩撮ることに決めた。
記念撮影しながら
「しーちゃんお風呂は入ればぁ」
といいながら、お風呂に水をため、戦利品の記念撮影をしながら笑い転げていると、
「あ~っ!!!」
やってしまいました。お風呂の水をあふれさせてしまったのです。
「あちゃー」 とか言いながらも 「しょーがないね。そのうち乾くよ」 とかいって、ばっくれてしまいました。 (ちんみ)

 

ホテルに戻り、変えてもらった広い方の部屋で、志津子おかあさんが煎れてくれた日本茶を飲む。
お風呂にお湯をはっておこう。今日一日、行ったところや買った物をそれぞれ記録する。書いておかないと、絶対あとで「何みたのか、サッパリ」ということになるのがわかっているからだ。
シーチャンち明日はどうしよう、などと言ってるそのとき、事件は起きた。お風呂のお湯があふれている。うわぁー、部屋の中まで水びたし、あーあ。
でも
「成田でAIUに入ったから平気。」
などといっている私。
ちんみは
「大丈夫乾くよ、下に部屋ないからばれないよ。」と言う。
しーちゃん一人で床を拭く。えらいなー。
ねよ、ねよ。しーちゃんはその部屋で、ちんみと私は隣の部屋で寝た。ZZZ. (ゆきこ)

やっと長い一日も終わり、みんなじぃーのことを思い出しながら寝ました。
 

 

 

 

1月24日(水)曇り時々雨

 

ボルゲーゼ

 

 

AM6:00過ぎ 大事件発生!
「カチャ、カチャ」という音でちんみは目を覚まし、
「今なんか音しなかった?」と雪子を起こす。
夕べからはめでたく221号室に変わり、そっちの部屋はダブルベッドだったので、たばこを吸わないしーちゃんに一人で使ってもらい。雪子とちんみがツインで寝ていました。
しーちゃん一人でもこの廊下は私たちしか使わないし、大丈夫だね。のゆきことちんみの部屋はずだったのですが……。
「今なんか音しなかった?」
「う~ん?そ~お~?」
「きのせいかねぇ。ごめん」
また布団にもぐり込んで、寝る。
ぱた、ぱた、ぱた、カチャカチャ……
がばっと起きあがる二人。
「変だよね。私たちしかこの廊下通らないはずだよ、こんな朝早くだよ」
しかし、このホテルのドアにはのぞき穴はついていないのです。
ちんみ、勇気をふりしぼってドアを開けると、
「しーちゃん!」
そこにはパジャマであるスパッツとトレーナー姿のしーちゃんが、
「どーしたの?!」
「電気がつかないから、フロント行って言ってきたの、へへ。」
「へへじゃないよー。何で私たちを起こさないんだよー。心臓止まりそうだったぞー」
「だって朝早いから悪いと思って」
「そーゆーときは起こしてくんなきゃ……。ところでしーちゃんフロントに言ってきたって何て言ってきたの?」
「えーとね、フロントの電気指さして、鍵の番号さしてダメダメって手を振ってきたの」
あーなんておそろしい。イタリア語はおろか英語もダウンのしーちゃんが、そんな姿で
ホテルの中をうろつき、訳のわかんないことをフロントに訴えに行くだなんて。ここはポーラの地方巡業じゃないんだぞ!
しかしさすが雪子の持ってたガイドには一流ホテルと書かれていただけのことはあり、無事にお兄ちゃんがやって来て、なんか知らないけどパッと明かりがついたのでした。
そこからがまた私たちで、
「あらつくならいいのよ、ありがと」
てな調子でお兄ちゃんをおいかえし、チップもあげない有様。ちんみは
「チップなんて思いつきもしなかった」
というし、雪子は
「チップあげた方がいいんじゃないかなぁ…。でもいいや」
と思ってたと言うし、しーちゃんはへらへらしてるし。おそるべし、最強の三人組。(ちんみ)
 

その日の朝の事だった。まだ夜が明けていないので外は真っ暗。廊下でガタガタという音がしている。
ナンダ、ナンダ。誰かが鍵をまわしているようだ。
私達の部屋の奥には、しーちゃんの部屋があるだけ。
ちんみが目を覚まし、「今、音しなかった?」と気にしている。
前回イタリアに来たときには、乾いたパーンという音を何度も聞いて、ゴットファーザーみたいだと喜んでいたが、今回はそーいうわけにもいかない……と、思いながらもまだ頭がチョットぼーっとしている。
しばらくしてパタパタと足音が聞こえ、ガチャガチャとドアを開けようとしている。ヤ、ヤバイ……しーちゃんに何かあったら順子さんに顔向けできない。こんなときに限って覗き穴もないなんて。ちんみがドアを開けた。

ギャーーッ!!しーちゃんが‘おねまき’のまま立っていた。電気がつかないので、フロントに文句を言いに行ってきたという。
おそるべし。ホテル慣れしているとはいえ、東北じゃないんだから、私達を起こせばいいのにね、きっとフロントの人も驚いただろう。
でも、しーちゃんのグレートなジェスチャーは通じなかったらしく、誰も来てくれない。
ちんみが英語で電話をかける。すごい、ペラペラだぜ。
今度はちゃんと大男がやってきた。パチッとスイッチを入れると、あれ?つくじゃん。
私とちんみはベッドの中で大笑い。しーちゃんもヘラヘラ笑っている。グラッツェと言い、大男をかえす。
「つけばいいのよ、つけば」高飛車は世界共通だ。
チップも渡さない。みんな忘れていたらしい。でも、私は覚えていたんだよー。(だったら言えよ)
これがのちのち世に語り継がれるであろう“しーちゃん電気つかないよ事件”である。(ゆきこ)
 

AM9:30 ボルゲーゼ公園
早くに目が覚めたので、昨日よりも出発をはやくしようと思う。だからといって急にシャンシャン動けるわけではないが、外も明るくなってきた。今日はボルゲーゼ公園の美術館へ行こう。

いつものように朝食。(まだ2回目だよ) カプチーノはあんまりおいしくなかったので、やめよう。
それにしても、パンがおいしいというだけで、なんて毎日幸せなんでしょう。
ミーティング会場に移ると、昨日うしろの席にいた人たちがいない。私達が早く来たからさっ。(チョット自慢げ) ほらほら、今頃集合してきたぜ。でも、来たからといってギンドロ組は友達じゃないので、出かけることにしよう。

まずは、昨日のS.シルベストロからバスでボルゲーゼ美術館へ。
運転手に聞いたのでこのバスに間違いない。今日は乗り越さないようにと気をつけていたので、大丈夫。あれ?ひとつ手前だったかなぁ? でも、公園の入り口はすぐ。

ボルゲーゼ3中にはいると雨が降ってきた。美術館はどこだろう。木の陰で雨を避けながらどんどん奥にはいる。ない。へんな鳥かごみたいな建物がある。あれじゃないし、こっちの大きいのは門だ。一番奥まで行くと猫がウジャウジャいた。ノラなのに毛並みがいい。
猫に混ざってオヤジがいる。餌をあげているようだ。ずいぶんと愛想がいい。「Hello!! Tolk to Me!」状態だ。もしかしたら道案内のためにここにいるのかもしれない。チップは渡さなくていいかな。
私達のスペシャルな語学力でも、十分オヤジには通じた。美術館は….入り口のすぐ横だった。また入り口に戻る。こんなに大きな建物なのに3人ともまったく気づかなかった。だって、木が大きくて見えなかったんだもーん。(ゆきこ)
 

いつものように(わずか二日目にして、いつものようにという気になっている私たちである)朝ごはんを食べ、今日はボルゲーゼ美術館へ。

昨日失敗したので、今日はちゃんとピンチアーナ門を過ぎたら一番はじめの停留所で降りるんだと下調べをし、もちろん何番のバスに乗るのかも昨日本を買ったんですから、ばっちりです。
でいつものバスターミナル(シルベストロ SILVESTRO)からボルゲーゼ公園へ。きょうはばっちり、美術館の入り口そばでバスを降りることができました。
MUSEO ENTRATAの看板に導かれて公園の中へ、ところがどこまで行っても美術館らしき建物は見あたらず、雨が激しくなってくる。木陰で雨宿りしながら進み、やっと猫と遊んでいるオヤジを発見。
「どこ?美術館」とここでもすばらしいイタリア語で質問すると、英語とイタリア語の混じったので「あっちだよ」と教えてくれる。教えられた方に歩いていけば、そこはさっき入ってきた公園の入り口から目と鼻の先、あまりにも木が大きくて、美術館の建物も大きくて私たちの視界に入っていなかったようです。(ちんみ)
 

ボルゲーゼ2

 

ボルゲーゼ美術館 MUSEO E GALLERIA BORGHESE
プロセルピーナ今は建物の大規模な修復中で、2階のギャラリーの方はローマ市内の教会に移転されている。しかしちんみが見たいのは、1階の彫刻なので、大丈夫です。
入ってすぐの部屋にある「プロセルピーナの略奪 IL RATTO DI PROSERPINA 」のプロセルピーナの体に食い込む指と体の肉の表現に釘付け、あー触ってみたい。ここはベルニーニの大パトロンだったボルゲーゼ家の屋敷なので、彼の作品が山積みのうれしいところです。

美術館の中のBARでお茶を飲んでいると、びんぼーな好青年が現れて、ちんみはいとこの太郎ちゃんを思いだしてうるうるしてしまいました。
彼はびんぼー青年として正しくこのBARでピザとカフェの昼食をとり、穴のあくほどいろんな写真集とはがきに見入り、写真集は高いのであきらめてやっとはがきを一枚か二枚買っていました。
「がんばれよー、青少年。おばさんはそんな君が好きだ。」と言いながら写真カタログとスライドまで買ってしまったちんみは「あーゆうナイーブな年頃に見られなかったのは悔しいけど、今、こんなに買えるおばさんになってて幸せだ。」と思ったのでした。(ちんみ)
 

美術館は修復工事をしていて建設現場みたいだ。中に入ってもやっぱり修復中。でも、ベルニーニの作品はたくさんある。
この建物はベルニーニのパパ(パパってあのパパよ、父じゃないわよー)ボルゲーゼさん家のヴィラだったんだって。いいよね、お金持ちって。
まず一つ目の部屋、『殿、お戯れを~ムニュッ』を見る。本当は「プロセルピーナの略奪」っていうんだけど、きっとしーちゃんと私には覚えられないでしょう。

ちょっと売店みよーっと。はがきを買って順子さんに手紙を書く。そしてもうお茶。しーちゃん、ここには紅茶があるよ。私は定番のお飲物 Spremuta di Arancia にしよう。
ちんみは本とかスライドとかバンバンお買い物。
ふと見ると、私達の他にもビンボーそうな若者が一人。長いこと写真集や絵はがきをジッと見ている。「欲しいな、でも僕にはトロッポ・カーロだし……」若者の声が聞こえてくるようだ。そういえば、この日の晩行くことになるレストランにも「ワインをちょっとだけください」と注文していたビンボーな若者がいたっけ。どうやらビンボーの行動パターンは一緒らしい。結局、その若者はハガキを2枚ぐらい買っていった。がんばって早くお金持ちの大人になるんだよ。

つづきを見学する。ダーリンご幼少のみぎりの作品もある。スゴイ、スゴイ。
小さいお子さんにこんなもの作られちゃった日にゃ、父ピエトロもかたなしだろう。ダーリンの傑作といわれているApollo e Dafine は修復中で頭しか見れなかった。でも『ムニュッ』が見られただけでも、来た甲斐があるというものダ。ホントはいろいろ調べていったら100倍くらいわかったのかもしれないが、私は「スゴイねー」しかボキャブラリーがないバカやろうボブくんなのであった。(ゆきこ)
 

Spremuta di Arancia:スプレムータ・ディ・アランチャ。生のオレンジを絞ったジュースです。他の果物を絞ったものはほとんど見かけませんが、このオレンジを絞ったのだけはポピュラーです。類似語にSucco di Arancia スッコ·ディ·アランチャというのがありますが、こちらはただオレンジのジュースという意味なので、フレッシュじゃなくってただのジュースが出てくる場合が多々あります。

 

AM11:45 街へ帰りたい
さて、街まで戻りましょう。ということになったのだけど、さっきバスを降りた道に戻っても反対側にバス停がない。あれは循環バスなのかしらとさっきのバス停に戻ってみても、どうやら違うらしい。ここでまたバス停にいたおばさんとすばらしい会話。
「このバスは、シルベストロに行きますか?」
「え?何?なんだって?」
「シルベストロ」
「あーシルベストロに行きたいのね」
「はい」
「このバスじゃ行かないわよ、 あっちのもう一本の道よ、 そこのかどを左に曲がって一本目の道よ」
「ありがとう」
なぜ、これがわかってしまうのか不思議であります。やっぱり「吉沢さんペラペラなんですって」の威力でしょうか?
とにもかくにもバス停を見つけ、この頃にはだいぶ雨足も強くなり、早くこーい。
ちなみにこのときは切符を買いませんでした。だって、買いたくても売ってるところなんかありゃしないんですもの。見つかるとすごく怒られて、罰金を取られるらしいけど、全然調べられないんだよ。ほんとにみんな買っているのかしら?(ちんみ)
 

外に出ると小雨が降っていた。バスでホテルに帰ろうとする。でもバス停がない。
テケテケ歩いて捜しても、どこだかさっぱりわからない。通りすがりのオバさんにちんみが聞いてみる。
「シルベストロ?はぁ?」 という顔をしていたが
「あぁ、サン・シルベストロね。あっちよ、そこを曲がって……」と教えてくれる。
無事にバスに乗り、S.シルベストロに帰る。 (バスはただ乗りだよ~ん)(ゆきこ)
 

無事にシルベストロまで帰り着き、昨日ものぞいた銀屋さんへ。
「やっぱり、安いよね。」
「やっぱり、かわいいよね」
ということでお店の中へ。財布だとばっかり思っていたのが実は小切手カバーだったのは残念だったけど、とりあえずなんか欲しいので、手帳を買いました。
近くの郵便局へ。順子ばーばへのはがきがやっと出せます。これから先の分も切手を買っておきましょうなんてしゃれたことを思いついてしまい、解ってもらうのにまた一苦労。
でもなんとか買えて、雨も降ってるのでデパートに逃げ込む。
ここで、ちんみはその後みんなの注目の的になる「肩こりコロコロ」を購入。そこからホテルはすぐなので、とりあえず帰りましょ。
この頃から、このホテルってとっても便利な場所にあるんじゃないかしら?と思うようになりました。その思いは日毎に強くなっていくのです。(ちんみ)
 

PM0:30 郵便局
切手バスを降りてもまだ雨降り。郵便局へ駆け込む。適当な窓口でハガキを見せ、「ジャポーネ」といえばOK。切手を買う所はすぐにわかった。
500リラと750リラの切手を1枚づつ貼るらしい。そうそう、もっと買っておかないと、毎日出すんだから。でも「あと5枚づつ」その一言がわからない。
イーオンに通っておけば良かったかな。手を広げて5にしてみたり、「チンクエ」「ご」「ファイブ」いろいろ言ってみた。
切手2「クエスト モア ファイブ、アンド クエストこれね」おいおい、何語だよっ。
冷静に考えれば、たいして難しいことじゃないのに、3カ国語(英語、日本語、イタリア語)混ざってすごいことになっている。でも、ちゃんと買えた。

ホテルに戻る途中リナシェンテによる。今になって思えば、ここのデパートがローマ滞在中に寄った店の中で、一番高級な店だったかもしれない。
SCONTOの時期なので確かに安いんだけど、コーラ・ディ・リエンツォに馴れた私達にはトロッポ・カーロ。店内をぐるっと一周したものの、誰も洋服なんて買わない。
地下の雑貨コーナーで、ちんみがコロコロを買った。なんてことはない木で出来たマッサージ器具だ。 (ゆきこ)
 

リナシェンテ:LA RINASCENTE ローマで唯一と思われるデパート。1886年創立の由緒ある百貨店。センスはいまいち。ミラノにもある。

 

PM1:00 シェスタ
ホテルに戻って、しーちゃん持参のようかんなんか食べちゃったら、今朝のアクシデントの早起きと、雨なんか降っちゃってなんか疲れたねということで、郷にいれば郷に従えとばかりに、シェスタの時間とあいなりました。 (ちんみ)
ホテルに戻ってシエスタ。すっかりイタリアモードに入っているので、昼寝をしないとね。さっきのコロコロを試してみたら…いいのよ、これが。ひょっとすると“イタリアいち”良い物かもしれない。あーなんて気持ちがいいんでしょ。ヨダレが出ちゃうねー、なんて言いながらウダウダする…zzz (ゆきこ)
 

PM4:00 観光名所
おーい、夜になっちゃうよ。
午後は散歩しながら近くの教会へでもということになりました。
サン·ロレンツォ·ルチーナ教会 S.LORENZO IN LUCINAを見てからスペイン階段へ。
てっきりまだ工事中だと思っていたスペイン階段。「志津子様いらっしゃいませモード」ですっかりきれいになっていてびっくり、雨が上がったばかりだからなのか、ポリスが立っているからなのか、一人も物売りのたむろしていないスペイン階段をちんみも雪子も初めて見た。
スペイン4「ひゃー、やればできるじゃん。びっくり」
「しーちゃん、これはすごいことなんだぞー」
階段を上まであがって、ムードたっぷりの暮れゆくローマの街を眺めながら、
「今度来るときはこのハスラーに泊まれる身分になっていようねー」
「そんなの3億光年先の話じゃないの」
「でもさー、ハスラーのすごい部屋に3泊するなら、ナッチョナーレに1ヶ月の方がいいんじゃないの」
「そーだよねー、どうせ買い物はここに泊まっても、コーラ·ディ·リエンツォだしね」
と屋台で買ったまずいパンとコーラを立ち飲みしながら語らう私たちでした。

スペインゆかりスペイン階段の周辺は、ローマで一番のブランドものの店が並ぶ地帯であります。
そんなところで私たちが買ったものは、「インドメタシン」肩こりの薬であります。ドルチェ&ガッパーナといういわくつきのブランドの洋服屋のウインドウを食い入るように見つめていたゲイのカップルを見かけたのもここでした。
あまりのおかしさに、写真を撮ろうとしましたが、その前に行ってしまい残念なことをしました。(ちんみ)
 

爆睡から目覚めれば、もう4時過ぎ。そろそろ行動しないと暗くなっちゃうよ。
散歩がてら近所にあるS.LORENZO IN LUCINA教会へ。ここまで来ればスペイン階段も行こう。
スペイン階段を上がる前に、階段下の薬局でインドメタシンを買う。
肩がピヨンボ(鉛)だ、とか言っていても気持ちは通じるのサ。

スペインゆきこ辺りはまたしても、とっぷりと日が暮れていたけど、スペイン階段に着いた。修復工事で見られないだろうと思っていたのに、ちゃんと直っていた。その上、物売りが一人もいない。志津子様マジックか!?こんなスペイン階段は見たことがないと、ちんみと二人感激する。
階段を上がり、ホテル・ハスラーの前の屋台でパンを買って食べた。まずかった。

ハスラーのロケハン、いったい何度目だろう。でもHOTEL NAZIONALEの味を覚えてしまった私には、自分のお金でハスラーに泊まるなんて、3億5千万光年たってもないだろう。
階段を下りて、D&Gの前ですてきな二人連れを発見。サブちゃんのおみやげに写真を撮ろうとしたけど失敗。 (ゆきこ)
 

ホテル・ハスラー:HASSLER スペイン階段の上にあるローマ一高級なホテル。どんなランキングでも5つ星。ちなみに1泊3万円~だが、「な~んだたいしたことないじゃん」と思ってはいけない。レストランはアラカルトで食べると7,700円からというゴージャスさ。
料金は明記されてないが、Appartamentiと称してスィートがある。いったいいくらするのやら、想像するのも恐ろしい。値段はともかく、分不相応ということですな。

サブちゃん:ちんみの友達。汚いゲイ。
 

 

いいものを見たので、足取りも軽く S.ANDREA DELL FRATTE サンタンドレア・フラッテ教会へ。ここではミサをしていた。
何を言っているのかサッパリわからなかったが、高校の時、礼拝の時間をさぼって反省文を書いたことを思い出した。
その後、ダーリンの生家をさがした。石の文化は何でも残ってるもんだね。今はもう普通の人が住んでるみたいだった。
こんなとこまで来ちゃったから、トレヴィの泉にも行こう。と思っていたのに、さっそくボタン屋にはまる。
あやしい店だ。パクリなのかバッタ物なのか、とにかく私はベルサーチの安全ピンを350円で買った。
その後のぞいた店には『ジュリエット』があった。カチューシャにアミアミがついたものだ。ベルサーチですら350円なのに『ジュリエット』には恐ろしい値段がついていた。革靴5足分だ。
ダ、ダメだ。JALのファーストに乗って、ハスラーのスィートに泊まるような人にしか買えない物なんだ。あぁジュリエット、どうしてお前はジュリエットなんだ…..しょんぼり…..。 (ゆきこ)
 

シルベストロを抜けてトレヴィの泉に向かう途中、しーちゃんは鞄屋さんのウインドーに釘付け。「ちょっと見たい」それは「ちょっと買いたい」と同義語です。 (ちんみ)
 

トレビゆかりそれからトレヴィの泉。キャーッ、水がきれいだ。なんてことだろう。まわりもきれいにしてある。お忍びだっていうのに、志津子様のグレートさを感じる。あぁオードリー気分。
私としーちゃんが観光客らしくコインを投げているとき、ちんみは地元の不良とならんでタバコを吸っていた。それにしても、この辺りはさすがに日本人が多いね。(ゆきこ)
 

トレビゆきこあーほんとに「志津子様いらっしゃいませモード」なんだわ。泉のみずがきれーいなのです。びっくりです。
ライトアップされ、修復も終わったトレヴィの泉。見事です。
しーちゃんと雪子は「また来れますように」とちゃんとコインを投げました。
トレビしー過去2度ともここに来ていながら、コインを投げなかったちんみ。それでも3回目だ。げんをかついで、今度もやめました。(ちんみ)
 

「確かこの辺、食材屋があったと思ったんだけど」
の声にがぜん張り切る雪子。トレヴィの泉近くには食材屋があります。
コーラ・ディ・リエンツォにある高級食材屋とは違う、庶民の食材屋です。
あった、あった。まあ、なんてかわいいオリーブ・オイル。
「雪ちゃん、このケースに入れるとかわいいよ」
と入れ知恵をするちんみとしーちゃん。
お店のじいさん二人をてんてこまいさせながら、めでたく4本セットに仕立てる。
あら、ちんみの好きなアーティチョークのリゾットだ。スープもある。レトルトだ。買って帰らなきゃ。(ちんみ)
 

近くの食材屋によって、香り付きのオリーブ・オイルを買う。
この店もオヤジなのでワガママが言えるのさ。奥の方からバジリコのオイルを探してもらう。ディスプレイ用の物なんだろうか、木でできたケースも手に入れた。
イタリア人のお客が 「このオヤジ日本語はなせるのか?」 と笑っている。
その上、私のポリ袋を見て、(日本人のくせに、こんなに食材買ってどうするんだ!)という顔をしている。大きなお世話だ。 (ゆきこ)
 

PM9:00 晩ごはん
そろそろごはんを食べないとね。だらだらホテルの方へ歩いて来たものの、ここはどこだろう。まあいいや、そこの店に入りましょう。DAVITOという店で夕食。
なんか全然はやってなさそうな店なんだけど、料理はおいしい。「昨日のじぃーの店よりおいしいよね」
笑えなかったけど、料理には満足して店の外に出る。この店は通りからちょっと奥まったところにあったので、そこの道まで戻って3歩進んでびっくり、なんとそこには夕べのじぃーの店が。私たちは昨日じぃーの店にガイドブックを忘れていたので、さっそく扉を開ける。
ちんみの顔を見るなりじぃーが
「おーお前たち、昨日忘れてっただろう。おーいマルコあれはどこだ?」
と言ったに違いない。マルコがすかさず本を渡してくれた。大げさにほっぺにチューなんかしながら「ありがと、ありがと」と言って店を出る。
「まるで、十年来の友達を迎えるようだった。今度行ったら、私の日本の娘だくらい言われるんじゃないの」とは雪子の弁。 (ちんみ)
今日の夕食もやはりパンテオン周辺。DAVITOというレストランに入った。
昨日のじぃの店よりもおいしい。また今日も「うげーー」というほど食べてしまった。けど、この店にもメローネはない。生ハム・メロンは一年中ある物かと思っていたのに違ったようだ。あぁ…メローネ、メローネ。

店を出てカドを曲がると、じぃの店があった。なぁーんだ、ぜーんぜん気がつかなかったよ。ちんみが入っていくと、じぃは大昔からの親友に再会したかのようにうれしそうだ。次に来たときには、もう「日本のわしの娘」ぐらいの事になっているに違いない。本も手元に戻ってきたし、さぁ、ホテルに帰ろう。途中BARでお花の形をしたお菓子を買う。かわいいけど、きっとまずいだろう。(ゆきこ)
 

このあと、昨日はすんなり帰れた道を迷ってしまって川に出ちゃったりして「あれー?」でも何とか帰り着きました。
PM11:00 HOTEL NAZIONALE
収穫24ホテルの部屋でおやくそくの記念撮影をして、おこづかい帳をつける。こんなこと日本じゃ絶対しないのに、みんなやたらマメだ。
昼寝までしたのに、今日はなんて有意義な一日だったんでしょう。昨日はサン・ピエトロ寺院しか行かれなかったのにね。よかった、よかった。
っというところで思い出した。さっきのレストランにマフラー忘れて来ちゃった。ローマに来て、他人に盗られた物はなんにもないのに、自分で忘れた物は多い。まぁ、いっか………。  (ゆきこ)

 

 

 

 

1月25日(木) 晴れ

 

しー

 

 

PM7:00 リコンファーム
今日から1時間早起きしてシェスタをしようということになり、一応7時に目覚ましをかける。が、しょせん食事を済ませてホテルを出るのは9時過ぎだ。

昨日アリタリアのリコンファームをしようと思っていたのに、チケットを持って出るのを忘れてできなかったので、今日こそはと思い、エア·チケットを持ってフロントに降りてきました。
そこでちんみの目に入ってきたのはフロントに立つじぃー。じぃーといってもあのレストランのじぃーではないんだけど、そこでちんみの頭にひらめく(じぃーは私の味方、立ってるじぃーは誰でも使え!)すかさず
「アリタリアに電話して、リコンファームしていただけませんか?」
「いいよ、チケットもってる?」
はいはいありますよ。
“ローマのじぃーはジャポネーゼのためにある”ちなみにこのホテルには、コンシェルジェなんてしゃれたものはおろか、ドア·ボーイもポーターもいません。だから何でもフロントに頼むしかないんです。 (ちんみ)
 

PM9:00 国立版画研究所 ISTITUTO DELLA CALCOGRAFIA
歩いても近いので歩いて研究所を探しながら行く。
「このへんなんだけどなぁ」と言いながら、ちんみ建物の中にはいる。となにやら怪しげなランプが作動して、中にいた警備員らしき奴が立ち上がる。その動きを横目でとらえながら、ものともせずにくるっと振り向いて、外にいた工事作業員に「版画研究所」というイタリア語を指さして場所を聞き、何事もなかったように「ありがとう」と言ってその場を去る。
「すげー、ちんみってば!」と雪子に言われたけど、「すげー」かったのはここから先の出来事でした。

さて、先ほどの場所からほんの3軒となり、ありました「版画研究所」。
中にはいると右手の小さなギャラリーでなんか現代建築の展示がおこなわれていました。
中にいた兄さんにすかさず「ピラネージ。私はピラネージが見たいんだ」 とちんみとしては英語で聞いたつもりなんですが、想像するにおそらく 「ピラネージ?ジョヴァンニ·バッティスタ·ピラネージの版画が見たいのか?」 てなことをイタリア語で聞き返され、解ったのは「ピラネージ」の一言だったので
「シー、ピラネージ」 と華麗なイタリア語で答える。
お兄さん電話を取りあげ、
「変な日本人がピラネージが見たいって来てるけどどうする?」
てなことを問い合わせてくれて、無事二階に通される。さて二階に上がり、扉を開けたらそこには大きな机とお兄さん。あー道は遠かりき。
「ピラネージが見たいんだね?パスポートは?」
「パ、パスポートー?」

ここまで来てやっとどうやらここはただの美術館じゃないらしいということにおぼろげながら気がつくちんみ。しかし今となっては引き返すこともできず、
「エア·チケットならありますけどだめですよね~?」
と、たまたまリコンファームしてもらってそのまま持って歩いていたチケットを出してみるが首を振られる。苦しまぎれに、
amx「AMEXなんかだめですかね~?」
首を振られる。その後お兄さんとおばさんはなにやらぼそぼそ、しばらく後、
「じゃ、ここに住所と名前を記入して」
となにやら分厚い帳面の1ページを出され、身分証明書の欄を指さされて、
「ここには、AMEXの番号ね」だって。
あー世界のAMEX。「出かけるときは、忘れずに」は嘘じゃないぜ。

今思えば、きっと世界中の大学の教授とか、何とか委員会とかそーゆー所の紹介状を持った、身分正しき研究員のみなさまが、研究のために見せていただく畏れおおい代物だったに違いありません。
なぜならその後お兄さんに
「ピラネージのどれが見たいの?」と聞かれ
「ローマ」と一言答えた私たちに、
お兄さんは鍵のかかった棚から分厚く巨大な一冊の本を出し、目の前の机の上に載せ 「はい、どうぞ」
あーやっぱり、ここは美術館じゃないのね、そうよね、研究所だもんね、でも私の読んだ本にはたった1行「ここでピラネージの全作品が見られる」と書いてあっただけなんだもん。
しかし、ここまで来たら開き直る私たち、「ぐるぐる歩いてみるより楽でいいね」なんてすっとぼけたことを抜かしながら、大胆にも 「私が見たいのはこの巻じゃない、パンテオンが載ってるやつなの」 と次の本を要求し、「これにもないよー」 とのたまい、3冊も本を広げた私たちでした。

無事目的のパンテオンも発見でき、
「カタログはありませんか?」
だからぁ、美術館じゃないって言ってるだろう。
「ありません」
「じゃあ、写真撮ってもいいですか?」
この先のお兄さんの言葉は未だに判明しない。私たちに解ったのは、「上の階に行け」「50,000リラだ」の二つだけでした。
その言葉とジェスチャーとインスピレーションで解読できたのは、「上の階に言って許可をもらって50,000リラ払えば写真が撮れる」というのか「上の階に行けば、僕の撮った写真を50,000リラで買える」というのではないだろうか?ということだけでした。
しかし、ここに至るまでの苦労を考えると、とてもまた上の階で一から身分証明書もないのにやり合う気力は残っていなくて、ほうほうのていで「ありがとう」と言って逃げ帰りました。

ちんみはてっきり美術館だと思っていて、カタログの1冊も買えばいいやと思っていたこの研究所で、こんな大騒動があるとは夢にも思っていませんでした。
それにしても、あのきっと各国のその道の人の名前が書かれた閲覧者名簿の1ページに、おとぼけにAMEXのカードナンバーとともに残されたちんみの名前は、後に発見されて「なんだこいつは?」ということになるのでしょうねぇ。
そんな怪しい日本人にも国宝級のものを見せてくれたイタリア国家公務員に感謝。(ちんみ)
 

今朝は何事もなく、平和に一日が始まった。
いつものように朝食とミーティングをすませ、出発。今日は徒歩で行動する。
まず、トレヴィのそばで、国立版画研究所を探す。ピラネージっていう版画を見に来たのだ。なんでも、まだ写真のない時代に版画で記録したものらしい。
私としーちゃん、ちんみのあとをトボトボついていく。これかなぁーと思って適当な建物に入ろうとすると、ブザーが鳴って中から警備員が出てきた。違うらしい。入口の人に聞いてみると3軒となりだった。なんだ、今通り過ぎてきた所じゃん。

「ピラネージが見たいのよ。」ちんみが交渉している。ここじゃないのかなぁ?なんか博物館とはちょっと違うみたい。お兄ちゃんがどこかに電話で聞いてくれた。どうやら上らしい。2階に上がるとガラーンとした部屋。版画はどこ?

なんだか大変な所に来たみたいだ。パスポートを見せろと言っている。ないもーん。
AIRのチケットじゃダメ?…..だよね。そこでちんみ、日本人パワー炸裂。
AMEXの登場。これでどうだ!
なんと平気らしい。ここに住所と名前を書けと言っている。柏の住所でいいんだろうか?そしてAMEXのナンバー。“出かけるときは忘れずに”は本当であった。これがジャックス・カードだったら入れてもらえなかったかもしれない。

いよいよ見学。
「ピラネージの何が見たいのか」と聞かれて
「ローマ」と答える。
知らないということはスゴイことだ。どの版画も、みんなローマのものなんだから。係りの人が大きなスクラップ・ブックというかポートフォリオみたいな物をだしてきた。歩いて見なくていいんだね、楽でいいじゃん。きっととても大切な、国宝みたいな物なんだろうけど、こんな怪しい日本人にも見せてくれるなんて、火でもつけられたらどうするんだろう。全部見た後で 「これじゃない」 と言うと別のをだしてくれた。でも、パンテオンがない。
「パンテオンはないの?」
と日本語で聞くと、もう1冊だしてくれた。結局3冊見せてもらった。全部ローマだった。

「パンフレットは売ってないの?」 と聞くと 「ない」 と言われた。なんでよー。文句だけは忘れない私達。マンマミーアという態度で、写真を撮ってもいいか聞いてみる。「ダメ」そりゃ、そうだ。「写真を撮るなら上に行って許可をもらえ」と言っているのか、「僕が撮った写真を上で売っている」といっているのかわからない。あきらめよう。

しーちゃんトイレに行きたいと言う。私の知っているイタリア語は「トイレどこ?」くらいなので、「お手洗いを貸していただいてよろしいでしょうか?」とは聞けない。でも、なんかわかったらしく、快く貸してくれた。国家公務員、いい人だ。(ゆきこ)

 

PM10:00 メローネ
大騒動の後は、ローマの美術館案内で見つけた「国立パスタ博物館」
ちんみが夕べ発見して食材担当の雪子に
「ここ知ってる?パスタってあのパスタかね?その歴史とテクニックって書いてあるよ?」
「なんじゃそりゃ?行ってみようよ」
ということになり、たまたまくだんの版画研究所のそばだったのでぷらぷら探しながら歩いていました。
と、小さな広場に野菜の屋台が出ていて、「あっメローネだぁ!!」
「ねえあれは夢にまで見たメローネじゃない?」
覚えておいででしょうか?私たちは来るときのアリタリアの中から、メロンを夢見ていたのでした。街を歩くときも、レストランに入っても「メロンはないの?」と機会あるごとに尋ねていたあのメロンです。
でも、どこにもなかったんです。あーここがロンドンなら、ハロッズに行けばきっとある。あーここが日本なら、千疋屋に行けばきっと買える。桐の箱に入っていてもいい、私たちはメロンが食べたいの。あのジューシーなメロンが口の中でとろける感じ……。
「これはメロンなの?」おそるおそるたずねる私たち。
「シー」
ああ、なんて明快な答え、夢にまで見たメロンが今私たちのものに。もちろん会話もままならぬまま「え?1,800じゃないの?ああ、100g、1,800リラなのね」なんて上の空で話しながら、メロンを入手。あーいい香り。しあわせ。
ところで、1,800リラだったか18,000リラだったか誰か覚えてる人いますか? (ちんみ)
 

屋台ウロウロ歩いていくと、路上の八百屋さんにフルーツが並んでいる。その中に“夢にまで見たメロン”があった。おぉメローネ!! でも、ちょっとウリかもしれない。あぁ、なんて良いにおい。見かけはウリでも、においはメローネ。
お店の人に
「これはメローネなの?」と聞いたら
「Si」
うん、間違いないぞ、メロンだ。
こんなところでメローネなんて買ったら重いぞ、まだまだたくさん歩くんだぞ。みんなメローネに逢えたうれしさで、そんなところまで頭がまわらない。イタリアにきて初めてお目にかかれたメローネを手に、ニコニコとパスタ博物館に向かう。(ゆきこ)
 

PM10:30 パスタ博物館 MUSEO NAZIONALE DELLE PASTE ALIMENTARI
パスタ本当にパスタの博物館でした。それも国立の。
一人づつ日本語の解説のはいったCDウォークマンを渡され、それを聞きながら博物館の中をまわります。イタリア人にだったらきっと解説してくれる研究員がついてまわるのでしょう。その内容というのはすごーくどーでもいいようなことを、すごーくまじめに科学的に解説しているという代物で、おもしろいんだか、つまんないんだかよく解らないという感じ。
たとえば「パスタは消化吸収されやすく、栄養素のうんぬん」かと思えば「一日1000リラあれば、どこでもパスタが食べられて幸せ?」とか「第3国が不幸せなのは、パスタがないからだ」とかそれをまじめに、とうとうと語られる変なとこでした。
最後に見学した人たちのサインをする本があったんだけど、日本人なんて、どっかの調理師専門学校の団体だけでした。
そうだよな、ガイドブックにも載ってないし、誰もこんなとこ来ないよな。それなのに、日本語のCDが何枚もあるなんて、不思議なところでした。
そんなところでも、はがきを買ってみたり、袋(布でできたお買い物袋みたいなやつ、280円だ)を買ったり、あれもこれもしていると、お姉さんが
「みつかんないうちにさっさとしまいなさい」
というしぐさとともに、3人に1冊づつはがきセットをくれたのでした。
版画研究所といいパスタ博物館といい、イタリアの国家公務員は寛大です。 (ちんみ)
 

パスタ博物館、これも国立だ。ホテルのフロントにあった、美術館、博物館の案内書に載っていたのだが、どんなところなのか誰も知らない。でも、やはり食材担当としては、おさえておかねばならないだろう。
パスタ博物館の入口に入ると、ディスクマンを貸してくれた。ソニーだ。使い方はイタリア人より詳しいぜ。日本語の解説のCDを聞きながら中を見学する。それにしても、こんな日本のガイドブックにも載っていないような所なのに、日本語の案内まであるなんて、この国のパスタにかける情熱を感じるなぁ。ヴァチカンも見習えよ。
案内のお兄さんがついてくるので、早送りでズルをしている私達は、時々「次はこっちだよ」と言われてしまう。見張られてるみたい。

『アフリカに今、足りない物はなんでしょう? パスタです』とか『100gのパスタがあれば、みんな幸せ』なんてことを、ゆで方や歴史、粉の種類、etc….もう、大まじめに語っているのだ。おもしろいわけじゃないが、なんかスゴイ!!と思わせてしまうパスタ博物館。おそるべし。

出口の売店で、絵ハガキやズタ袋を買い込む。こんなに買い込む奴らは他にいないのかもしれない。国家公務員のお姉さんは、ハガキのセットを3組出して“早くしまっちゃいなさい”というそぶり。Present for youなわけでしょ。上野の国立博物館じゃ、こうはいかないよね。(ゆきこ)

 

AM11:00過ぎ クィリナーレの丘辺り
今日はいいお天気です。てこてこ歩きながら教会へ向かう途中、なんだか立派な建物の前に出てしまいました。
「なんだろうここは?」と地図を見ると、“大統領官邸”。
私たちが泊まっているホテルの前は“下院”の会議場。なんか普段の私たちにはとても似つかわしくない場所が、何気なくどんどん出てきてびっくりしちゃいます。
日本だったらとても近づけない場所まで、平気で道路や広場になっているので、うっかりすると中をのぞいてみたくなります。もっとも警備のお兄ちゃんが2~3人は立っているので、速攻で止められるでしょうけど。

クイリナーレさて、サンタンドレア・クイリナーレ教会 S.ANDREA AL QUIRINALE です。
ここはベルニーニの建築代表作です。今まで見たように、建築の一部分とか彫刻だけとかではなく、すべてが彼の設計、プロデュースによるものであります。小さいながらいや小さいからこそ、彼特有の重厚でありながら軽やかで、躍動感のあるドラマティックな空間、みなさまお楽しみいただけましたでしょうか?
さて続いて、ベルニーニのライバルといわれたボッロミーニの代表作品である、サン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネ教会 S.CARLO ALLE QUATTRO FONTANE であります。宿命のライバルともよばれる二人の作品。ほんの数mの距離に、縦長と横長という違いだけで、ほとんど同じ規模の教会を建てさせるなんて、いかに当時のパトロンたちは、これらの一連の建築を基本とする私たちが今芸術とよんでいる活動を愛し、楽しんでいたか解るというものです。

おー、まだ間に合う。バルベリーニ宮殿(国立絵画館)PALAZZO BARBERINIです。
ここもベルニーニの設計した広間があります。たまたま彼の肖像画も展示されていて、いっそう感激の深いものになりました。
雪子はここでお気に入りの作品を見つけたようです。エル・グレコだったっけ?(ちんみ)

 

外に出て路地を歩く、なんか狭い道ばっかり歩いてるなぁ。
階段を上がると、クィリナーレ宮殿の前に出た。大統領官邸だ。
そこで順子さんにハガキを書く。
前の広場には、さっきピラネージの版画にあった噴水があった。
そこからクィリナーレ通りを通って、サンタンドレア・クィリナーレ教会へ。ダーリンの設計だ。
こんな形 Ω の小さめの教会だったけど、「おぉ、バロック!」という感じでとても良かった。 すぐそばにある、こんな形 ○ のクアトロ・フォンターネ教会にも行ったけど、Ω こっちを見た後なので、なんか物足りない。
クアトロ・フォンターネ通りを通って(あーまぎらわしい名前じゃ)国立絵画館へ。ここはまたもやダーリンの第二のパトロン、バルベリーニさんちだった所だ。
ひろい、ひろい。4年もかけて描いたという天井画は首が痛くなるほどで、寝転んでみた。ベアトリーチェ・チェンチの肖像もかわいかったが、私が気に入ったのはもっと変なキリスト生誕の絵。なんだか、ちょっと屈折したものが好きみたい。….と人ごとのように思う。(ゆきこ)
 

AM12:30 共和国広場あたり
今日は秘密の中華屋でお昼を食べようと思っていたのですが、とってもおなかが空いて、とにかくなんか食べよう。ということになり、近くのバールでサンドウイッチ。(ちんみ)
 

おなかが空いたのでバルベリーニ広場でBARに入る。昼食は中華を食べるはずだったのに、我慢のきかない私達。サンドウイッチと野菜のゆでたものを食べてしまった。 (ゆきこ)
 

あーコースの選択を誤りました。ちんみをもう一度ローマに行こうと決心させたあの教会、‘キューソ’です!昼休みであります。夕方4:30まで開きません。しかたがないから出直しです。 (ちんみ)
 

その後ちんみのお気に入りの S.Maria della Vittoria 教会に行って『あぁ』を見るはずだったのに、CHIUSOで入れず。残念、出直すことにした。(今になって思えば観光案内所はこのすぐ奥だった。)(ゆきこ)
 

がっかりして共和国広場に向かう。教会が見れないからって落ち込む私たちでは全然ない。
「きゃーこれかわいい、めずらしくなあい?」とか言いながらお店をのぞきながら歩く。3歩進んで2歩下がる、という調子だ。
本屋にはいる。本屋だけはあると無条件に入り込んでしまう私たちだ。だって本屋だけはウインドーを見ていてもいまひとつなんだもん。
ここでちんみはあの大騒ぎした「ピラネージ」の版画集を見つける。でかい、高い。でも買う。
これが欲しかったんだよこれが。美術館で売ってるカタログでもあれば、安くていいのになあと思っていたけど、なにしろあの調子だったので本屋で買うしかないでしょう。と思っていたところで発見しちゃって、買うしかないなぁ。
雪子としーちゃんは日本語会話の本を買ってました。これで少しは私たちのイタリア語のボキャブラリーも広がるというもんです。
めちゃくちゃ安いベルニーニの本も雪子が見つけてくれました。なぜこんなに安いんだぁ!!! (ちんみ)
 

大きな本屋さん発見。いつも本屋さんでは、中に入ると放飼い。みんな見る本がちょっとづつ違うからだ。
でも、レジの前辺りで、戦利品の報告会。
ちんみはローマのCD­ROMとベルニーニ。私とし一ちやんはイタリア語の辞書とイタリア人が日本語を勉強する時の手引き書を買った。

共和国広場に向かう。ここも不良が多い所、団体観光客のみなさんは、添乗員に注意されている。本屋から出てきたばかりなのに、また本をみつけてしまう。テントで本の50%OFFをしていた。そこてちんみは3500円でとんでもなく重い本を買ってしまった。両手は荷物でいっぱいだ、本やメローネ、パスタ博物館の雑貨。疲れてはいたがさっき
BARに入ったので、そんなにお腹は空いていなかった。(ゆきこ)
 

あ~満足満足と共和国広場に着く。ここは広場だけしかないんだけど、なぜか観光名所だ。日本人の団体が歩いている。ちょっとくっついて歩いてみたりして遊んでいると、あっまた本だ。
露天で台を広げて本を売っている。やっぱり見る。(どうかベルニーニの本なんかありませんように。これ以上は持って帰れそうにもありません。)と言う複雑な気分で本を見る。よかった。ベルニーニの本はないや。
教会1でも、あれっ?どうしよう。『ローマの教会』だって。
すごいいいほんだな。ローマ中の教会が載っているぞ。すべて正面玄関の写真付きだぞ。ローマは道が狭いうえに建物はでかいので、正面からとらえるのはすごく大変なんだ。それが、マイナーな教会まで完備されている。しかも、安い…。
こーんなに厚くて(今だけは、その厚さがいまわしい)たった3,500円だ。日本で買ったらいったい幾らするんだろう。それよりこんな本は日本では入手不可能だよな。
「えーん、欲しいよー。でもでかいよー。」 と泣くちんみに
「もう、ここまできたらいっしょだよ、買ってっちゃいな!」 と二人の言葉。
「そうだよね」 とまた買い込んでしまうちんみであった。(ちんみ)
 

PM1:00頃 ナツィオナーレ通り
教会に行けなかったので、ナツィオナーレ通りをてこてこ歩きながらホテルまで戻ります。
途中、今考えるとこの一回だけだったか?という気もしますが、雪子が洋服屋にはまりました。
試着してみると「でかいよ」ってことで、小さいのを取りに行ったお店の姉さん、サイズのタグを切り取って再び登場。やっぱりでかいなとあきらめる。
しかし、あのとき持ってきたのは本当に小さいサイズのものなのか?それとも「同じもんしかないから、えーいサイズ切り取っちゃえばわかんねーだろー」なのか、どっちなんでしょうね? (ちんみ)
 

わーい、ちんみが密かに心待ちにしていた中華屋「ドラゴンガーデン」でお昼です。ここは豪華絢爛な内装にびんぼーモードな価格という私たちにはありがたーいお店です。自慢じゃないけど、今回の旅で結果的には一番豪華な造りのレストランでしたね。 (ちんみ)
 

ドラゴンそれでも、やっぱり中華屋さんにも行った。ちんみおすすめの“DRAGON GARDEN”だ。外見は妖しいが、中は豪華。テーブルセットもしてあって、すっごく高級か…と思ったらびっくりするほど安かった。イタリアってお金のかからない国だね。
店の中で唯一、広東語が話せそうな人が谷村新司のスバルをうたっている。こんな所でスバルなんてへんなの。ても、出てきた料埋はおいしい。イタリア滞在中、一番豪華な食事になった。(ゆきこ)
 

お昼も食べて元気になった私たち、ホテルに向かって散歩の続き。お店もなくなり、ぶらぶら歩いていると、なにやら怪しい煉瓦づくりの廃墟。
「なんだろね、これ」
「ほんとに遺跡がごろごろしてるねぇ」
「う~ん、何だろなわかんないなあ…」
「まぁ、いっか」
と後にしてきたのは、“トラヤヌスの市場跡”でした。
2世紀初頭に作られた古代ローマのショッピングセンターであります。お買い物好きの私たちは、しっかり見るべきところだったのに、素通りしてしまいました。まあ、今でもお店があるなら言われなくても「見学」していたところでしょうが、何しろ廃墟なもんで……。
それにしてもでかかったよなぁ。後でガイドブック見たら、柏の高島屋くらいの大きさはあって、びっくり。(ちんみ)
 

いつも私たちが目印にしていたヴィットリオ・エマニエル2世記念堂前の、ヴェネチア広場に出る階段の途中に変なカード屋さんがありました。
なんとあのピラネージの版画をカードにしたものがたったの60円で売ってます。たぶん問屋さんのような所だと思うんだけど、しめて6~700円の買い物をするためにお店のあまり賢くない兄ちゃんは、とんでもない苦労をさせられました。
「これじゃなくってさぁ、パンテオンはないの?」
「?」
「パンテオンよ、パンテオン」
「パンテオン、オワッタ」
「終わったぁ?嘘つくんじゃないよ、ちゃんと探してよ」
「オワッタ、オワッタ」と言いながら、全部の種類が張ってあるアルバムのようなものを持ってくる。
「あーら、いいものあるじゃない。そうよどれ、見せてごらん。ないわねぇ、パンテオン…」
「終わったんじゃなくて、最初からないんじゃない、しょうがないわねぇ。じゃあ、あたしはこれとこれとー、しーちゃんはどれにする?」
「エー、これかなぁ、これと…」
「はい、じゃあ全部でこれだけ。イクラ?」
「ウーン、900リラガ3マイデ……」
「お兄ちゃん、計算できんの?」
「おー、一枚づつレジ打ちにいった、それが一番だね」
「しーちゃん、計算あってる?」(しーちゃんは、暗算ができる!!!)
「うん、大丈夫みたい」
何とか無事に支払いも終え、
「はい、ありがとねー」
「アリガトウ」と言う私たちに、きっとそれまでずーーと考えていたに違いなく、やっと思い出せたお兄ちゃんが言った一言、
「さよなら」だったのか「ありがとう」だったのかどっちだっけ?
ちなみにこの会話はカタカナの部分だけがイタリア語です。 (ちんみ)
 

ピラネージ
おなかもいっぱいだし、一度ホテルに帰ることにする。でも、歩き。
NAZIONALE通りの坂道をタラタラ下りて、私達の目印の為に建っている“ヴィットリオ・エマヌエレ2世記念堂”の近くまできた時、どこかで見た様なカードがウインドーに張付いている。ピラネージだ。
「な一んだ、こんな所にあるじゃん」版画研究所でムリムリ写真撮らないでよかったね。お店に入ってみると、どうやら間屋さんらしい。ても気にせずに「クエスト」と言ってウインドーを指差す。パンテオンよ、パンテオンはないの?またしてもイタリア人、得意のいいわけが始まる。
「パンテオンは終わっちゃったよ」 なに言ってんだ、ちゃんとさがせよ。
「ロバの耳が付いたパンテオンよ一!」
やっとヤツも何をすれば良いのかわかったらしく、全部の種類が貼ってあるアルバム状態の見本を持ってきた。
「これ1枚とこっちは2枚」
「あっちのは3枚でこれもう1枚ね」
きっと小売にはなれていないのだろう、ヤツはアワアワしている。一通り出してもらって気の済んだ私達。
でもヤツが本当に大変なのはこれからだった。カードは一枚すつ値段が違う。ヤツの計算能力は小字生以下だったのて、お手上げなのだ。ちんみがカードをつかみ、「2000リラがドゥエ」と言うとヤツはレジに行って打つ。次に「4000リラがウーノ」と聞いてまたレジに向かう。
やっとの事でイル・コントが終わった。一枚ずつが安いので、たいした金額にはならないのだが大仕事を終えたヤツはニコニコとしている。ボンジョルノと言って店を出ようとしたら
「サヨナラ!」とヤツが言った、得意気だ。
きっと一生懸命に考えていたんだろう。あってるよ、良かったね。やっぱり観光客があんまりいない所は物が安くて、人は親切。そしてトボトボHOTELに帰る。 (ゆきこ)
 

PM3:00 ナヴォーナ広場
街中シエスタ、私達も部屋でのんびりとTV見る。座談会らしい。話題の中心は“女の子とオヤジ”、時々、し一ちやんがペラペラ・モードに入るらしく解説してくれる。
「父と娘の話」だとか「セクハラの話」だとか、もうシュミレーションの嵐。本当の内容は全然、わからないが充分、私達が見ていても楽しい。

そして、おでかけ第2段。
まずは、まっすぐにS.Agostino教会、に行くはずだったのに、アクセサリー屋にはまる。妹にピアスを頼まれていたからだ。ついつい何故かで見た某パレットのチャームみたいな物まで買ってしまった。
そしてナヴォーナ広場。なんだか“ガラ”の悪いとこばっかり行く私達。3つの噴水は水がきたなくて、正しいロ一マの姿という感じ。

S.Andrea della Valle教会では還暦祝いをしていた。こっちは赤いチャンチャンコを着ないらしい。ミサをしていようが、他人の家の還暦祝いをしていようが、教会の中へはいつでも、誰でもはいれる。なのに、昼休みの時間にはカギまでかけて入場禁止。日本もシエスタすればいいのに、サマータイムは困るけど…。(ゆきこ)
 

ホテルの裏道をお店を見ながらサンタ・アゴスティーノ教会へ
ダーリン、ベルニーニが主祭壇を設計した教会です。
それからすぐそばのナヴォーナ広場についたときには、もう薄暗くなっていました。ここにはダーリンの設計した噴水が2個と、もう1個違う人の作った合計3個の噴水があります。ライトアップされてました。庶民の広場ともうしましょうか、薄暗い中子供たちがサッカーなんかしています。
「この辺の子供たちってどこでも石畳で、土の上で遊べないんだねぇ」
いいことに気づくじゃないの志津子さん。ホント不思議だね。

ピラネージ1ちんみはここでソフィア・ローレンの「昨日・今日・明日」という映画を思い出し、みなに説明する。3話のオムニバス形式の映画なんだけど、その第2話・今日にあたる部分が、ここローマのナヴォーナ広場を見下ろすアパートを舞台に繰り広げられるのであります。なんとしーちゃんもその映画を見て覚えていて、
「そーかー、あれがここなのかぁ、すてきだったよねー」
としみじみ。
しかし雪子は
「エー、そんなの知らない、観たいなぁー」
これも年代の差でしょうか?中間管理職?のちんみは板挟みです。 (ちんみ)
 

PM6:00頃 迷う
すっかり日も暮れて、暗くなったローマの街をまたてこてこ歩いてサンタ・アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会です。なかなかでかい教会です。中では還暦祝いの?ミサがおこなわれていました。
教会を出て、野生の勘を頼りにローマの街を歩きます。変なろうそく屋さんを発見。なんかお腹空いたような、空かないような…。BARがあった。
「ここでなんか買って帰ろうよ」
「うん、のぞいてみよう」
「うーん、ここで食べてっちゃう?」
「そだねぇー」
……….。
「おいしくないねぇー」
「隣のジュース屋気になるねぇー」
「うん、でもお腹はいっぱいだよねぇー」
「あたし、飲んじゃおっかなぁ」
「えー、じゃああたしもー」
てなわけで、ジュース屋さんへ。だが、またしてもメローネはありません。そんなわけで、ノーマルにイチゴジュースを頼みました。あまいけど、おいしい。イタリアの男は甘い物好きです。この店も男の客がいっぱい。会社帰りの男がまるで、ガード下で飲むように一杯ひっかけて帰ります。おかしなやつらだ。 (ちんみ)
 

この日のタ食はBAR。なんか油っこくて、味も塩が足りない、とてもまずかった。
窓の外にはすご一く派手な服を着た子供とお父さん。その後ろにジュ‐ス屋さんが見える。
まずい物を食べてお腹がいっぱいになっても、気持ちが満足しないのてジュース屋さんに行ってみることにした。FRAGOLAのミルクシェーキは、見た目はスゴイ色だけど思ったよりおいしい、よかった。

ホテルに帰ろうとしたら、なんだか道に迷ったらしい。テヴェレ河の方に出てしまった。ちんみが年配の御夫婦に道を尋ねる。すると「そんな事より、トレヴィはどこなの?」……やはり迷子の人達だったのだ。
自分達のホテルさえわからなくても、ちんみはトレヴィまでの道を親切に教えてあげる。なんかジモティーみたいだね。そういえば、昼間の洋服室さんで私は店員にまちがわれた。ビンボーくさいカッコでいるからなのか、それとも、どこでも我が者顔でいるからだろうか?私達だって“日本人観光客様”なのに……。 (ゆきこ)
 

あら、隣は本屋さん。またはまっちゃったわ。あら、なんかお兄さんが言ってるわ、「もう、終わりだってー」さすがペラペラの雪子が教えに来てくれました。

さて、そろそろホテルに帰りましょうか。あれ?さっき見てきた教会がなぜ、私たちの前方に見えるのでしょう。
おかしいわね、こりゃ反対方向だわ。てこてこ。
あれ?どうしてこんなとこに出ちゃうのかなぁ?
どらどらと地図を見る。うーん、やっぱり、反対だなぁ。
でもどおしてさっきの教会があそこに見えるんだろう??穴のあくほど地図を見る。もしかして、あれはさっきの教会じゃないのかしら?とちょっと戻ってみるとちゃんと後ろにさっきの教会が。
あーまるで同じに見えるけど、あれは別の教会ジェズ教会なんだわ。まぎらわしいったらありゃしない。やっぱり、こっちでいいのね。と、四苦八苦しながらホテルに帰りました。 (ちんみ)
 

無事、自力でホテルに戻る。
この日だったかどうか定かではないが、しーちやんに
「こんどはフロントでカギをもらってね」 とたのんだ。
せっかく来たんだから、なんても試してみないとね。221号室なので指を出しながら
「ドゥエ、ドゥエ、ウーノ」って言えば出てくるよ。
でもしーちゃん、緊張したのか言ったせりふが
「ドゥエ、ドゥエ、ワン」
そりゃ英語だ。3カ国語をあやつる女、カッコ…イイ。 (ゆきこ)
 

メローネやっとホテルに帰り着き、忘れていたね、メロンだよー!!!
ワク、ワク、あ~ん早くー。
パクッ!………?……???
「なにこれ?」
「メロンじゃない」
「うりだぜ、うり。」
がっかり。確かにメロンなんだけどさぁー、私たちが頭に描いていたメロンじゃないのよねー。もっとジューシーでさぁー。見てくれは夕張メロンなんだけどさぁ……。やっぱうりだよなぁ……。結論、冬のイタリアでメロンは食えない!!!肝に銘じておこう。 (ちんみ)
 

部屋ではメローネを食べた。やっぱりウリっぽかったが、中は赤肉で夕張メロンを思わせる。今度イタリアに来るときには‘夕張メロンシャーベリアス’を持ってきた方がいいなと思った。 (ゆきこ)
 

収穫25
 

 

 

 

1月26日 (金) 雨のち晴れ

 

晴れ

 

 

AM9:00 銀行
今日は観光名所巡りの予定だったけど、雨なのでヴァチカン美術館に変更。朝方からすごーい雨だった。ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ、どっかーん!!!イタリアの雷はすごい!
さすがのびんぼー旅行も、5万円じゃやっぱり足りないみたいです。てなわけで、チェンジ。今度はちゃんとギンコーへ行こう。
ホテルの横丁の銀行へ。厳重な扉である。一人づつしか入れない自動ドア。
ちんみが入って、雪子が入って、ところがしーちゃんが入れない。どうしてだ?
何度やっても入れない。どうなってんだ?しーちゃんがそんなに怪しいというのだろうか?ちんみと雪子の方がよっぽど怪しいのに……。
そこでひらめきしーちゃん。なんかごそごそやっている。ん?
バッグを外のロッカーに入れている。銀行の外扉の横になにやらロッカーがある。(そんなわけないじゃん)とちんみは思っているが、あらびっくり、手ぶらになった志津子さんは見事に扉をパス。あんたはえらい!
札「すっげー、しーちゃんいいひらめき」
「えー、なんで?なんで?」
「あのね、ロッカーの所にバックの絵が描いてあったの」
このように、ときどきしーちゃんはイタリア語ペラペラになって私たちを驚かせるのである。
え? なぜちんみと雪子は大丈夫だったかって?そりゃ二人ともはなっから手ぶらだったからですぜぇ。
それにしても両替はちゃんと銀行に行きましょうね。手数料もほんのちょっとだし、おまけにイスに座ってお金の分配まで安心してできます。(ちんみ)
 

今日はコロッセオに行く……予定だったが、雨が降っているのて急拠変更。いいかげんな旅で良かった。雨の中歩くのやだも‐ん。
まず、リラがとぼしいのて銀行で両替。ここの入口がちょっと面倒くさい。手ぶらのちんみと私はすんなり入れたが、しーちゃんは入れない。リュックを背負っているからだ。
二重のドアが一枚づつ開き、しかも一人づつしか入れない。バックや傘を持っている人は外のロッカーにしまって、人間様だけが、お入りいただけることになる。し一ちやん無事、入場。
やっぱり銀行は手数料がすごく安い。職員のおじさんは普通のイタリア人よりマジメそうだが、くわえタバコで仕事をしている。日本じゃ考えられない。奥にあったイスに勝手に座り込んで、お金をわける。ピッタリで割れないので、くわえタバコおやじの所に行って
「これを、これに、してください。」と言う。もちろん日本語で。
とりあえず“モノ”を見せればすんなり通じるのだ。よし、これで割切れた。今回も1人3万円づつだ。(ゆきこ)
 

AM9:30 ヴァチカン美術館
とりあえず、みんなのお金を集める。この中から食事代、交通費、チップも入場料も出すのだ。リッチになったとたんに移動がタクシーになった。雨が降ったりすると貧乏ゴッコもしていられないらしい。
銀行の側から Piazza Cavour を通り今日は時間が早いのて、祝御入場。
横にエレベ一ターがあることに気づきもせずに、ぐるぐるぐると長い坂の通路を歩いてやっと上にあがる。ここが本当の ENTRATA なのだ。
まず、オフィシャル・ガイドブックを買う。もちろん日本語だ。これがないと広い館内、なにがどこにあるのか、まったくわからない。もっとも本を買ったところて『まったく』わからないが『あんまり』わからないになるくらいのもんだけど….。 (ゆきこ)
 

バチカンゆきこさて、両替もすませ、ちょっとリッチな気分の私たちはTAXIでヴァチカンへ。びんぼーモードにはあるまじき行為であるが、この日は雨が降ってるし、おまけにヴァチカンのバス停から美術館までは結構な距離があるのです。てなわけで、ぴゅーんとヴァチカン美術館に到着。
「全部見てたら日が暮れちゃうんだからね、見たいとこだけに絞るのよ」
のかけ声とともに、GO!
雪子のお気に入り……地図の間
志津子のお気に入り…ヴァチカン図書館
ちんみのお気に入り…松ぼっくりの庭
とみな的外れではあるが、一応ラファエロの間もシスティーナ礼拝堂もちゃんと見学しました。解説書を買ったので、次回来るときにはちゃんと予習してくることにしましょうね。 (ちんみ)
 

ばちかんゆかりとし

とにかくいろんな物があるのて、全部を見るのは不可能。システィーナ礼拝堂とラファエロの間をおさえておけば、いいかな?ぐらいに思いながら出発。
おお、さすがヴァチカン両替所がある。なんて言いながらシモネッティの階段へ。で、エジプト美術館、ピオ・クレメンティーノ美術館(ベルヴェデーレの中庭)、エトルスコ美術館、燭台のギャラリー、タペストリーのギャラリー、地図のギャラリー、ラファエロの間あれこれ、あとなんだっけ?…まあ、いろいろ見てシスティーナ礼拝堂へ、中はとんてもなく混んでいる。
あれもこれも有名な絵だけど、ずっと天井見てるのも辛いものがある。ミケランジェロの「最後の審判」や「E.T」もあった。テレビで見たのとおんなじだ。日テレで城戸真亜子が修復作業、レポートしてたもん。
たくさん見たけど、私は「地図のギャラリー」が一番好き、特に天井が。ぐちゃぐちゃ描き込んであって、こじんまり。システィーナを目指す人が通るための廊下の天井って感じだから、みんなに注目してもらえなくて、小字校の昇降口にあった、モナ・リザの様な存在。ガイドブックにもちょっとしか載ってない。 (ゆきこ)
 

バチカン晴れ見学が終わり中庭に出ると、今朝の雨が嘘のように「ぴかりーん」と晴れている。なんて行いのよい私たち。神様はご存じだ。 (ちんみ)
 

売店ではポストカードのセットを売っている。もうセットはいらないので、「バラじゃなきゃ嫌。」なんて言っていたら、でてきた。数枚購入する。ラ・ヴィ・ドールのみんなへのお土産もヴァチカンで買った。一度外に出るが、日課となっている順子さんへのラブレターを出すために、中の郵便局へ。 (ゆきこ)
 

さて、ご飯でも食べようかと外に出るが、
「あ、順子さんへの手紙。ヴァチカンから出したいよねー」
てなわけで、またまた戻って手紙を書いて美術館の中の郵便局へ。ここのオヤジがなかなかの商売人で、ちんみがはがきを出して「切手」と言うと「おじょうさん、それはそうとこの○○セットはどうだい?こっちは△△セットだよ。こんなにたくさんあって○○○リラ、ぽっきりだよ」と猫なで声で言う。「NO」と答えると、「×××リラ」といきなりぶっきらぼうな返事。
彼のギャラはコミッションなのに違いない。(ちんみ)
 

PM0:30 再び、コーラ・ディ・リエンツォ
雨上がりの街がきらきら光っている中を、おなじみみんなが大好きなコーラ・ディ・リエンツォ通りへ。
ああ、でもその前におなかが空いたよー。ご飯の時間だよー。どこかレストランはないかなぁ。キョロキョロ。こんなとき野生の勘が働くのはちんみです。
「あそこにしよう!」何の根拠もありませんが、脇道のピッツェリアがちんみを呼んでいました。どらどら。新しそうで気持ちが良さそうだけど、お値段は?
こんなとき班長さんと呼ばれるちんみは、じつは深く考えていません。もう探すのが面倒くさいのです。値段が高かったら高かったでしょうがないや、と思っています。味だって、期待なんかしていません。なんか食べられればいいのです。もう、ぜんぜん気にしないでどんどん入っていっちゃいます。
おやー?テーブルにクロスがかかっています。ちっと高いかなぁ?でも気にしません。これぞイタリアのおばちゃんてなおばちゃんが出てきました。「どこでも好きなとこ、座っとくれ」てなことを言ってます。
あれー?誰もお客さんがいないぞー。まずいのかなぁ?でもいいや、座っちゃえー。おばさんに水とワインを頼んだら、それを持って来たっきりどっかに行っちゃいました。
「ねえ、おばさんてシニョーレだっけ?シニョリーナだっけ?」とか言いながら短気な班長さんは「シニョリーナー!!」と大声で呼びつけます。
「バッカ、それはお嬢さんだぜ」と雪子に注意されるが、ちゃーんとお嬢さんが登場してびっくり。無事、ご注文。このあたりからどんどんお客さんが入ってくる。メニューの値段も高くなかったし、当たりかしら?
当たりでした!おいしいよーん。あっという間に地元の民で一杯になってしまいました。人気のレストランらしいです。近所のショップにお勤めのお姉さんのグループもいました。彼女たちは私たちが日本人なのを確かめると「ありがとう」とか「さようなら」とか日本語でなんていうのかしらと聞いてふんふん言ってました。スペイン階段そばの高級店通りばかりでなく、このコーラ・ディ・リエンツォ通りにも日本人が進出してきているのでしょう。商売熱心なことです。 (ちんみ)
 

その後はまた Cola de Rienzo、 しーちゃんのブーツが一番の目的です。
でも、お腹がすいていると力がでないので、まず、ごはん。またまたPIZZERIA。東北巡業でのコンビニとミスドーのごとく、私達は毎日BARやPIZZERIAに行く。今日の食事はおいしいかな?店の中は改装したばっかりらしくキレイ。でも、お客さんは誰もいない。
水と赤ワインを頼んでメニューを見る。トマトのピザ、オリーヴ、ズッキーニのFRITTOなど、誰がみても一目で飲んベ一のおつまみだと思ってしまうチョイスだ。しーちゃんが「この水ガスが入ってるよ」と言う。どれどれホントだ、ちゃんとガス抜きって注文したのに!
ちんみが「イタリア人にはこれ位でもガス抜きなんじゃないの」と言うので文句を言うのをやめる。ちんみが言うことは本当かウソかわかんないけど、とにかく説得力があるのだ。
水ではまんまとダマされたけど、ここの料埋はおいしい。普通の家のおそうざいふう。ほうれんそう入り卵焼きなんて、家庭科の調理実習で作りそうな素朴な味だった。
オリーブちんみがオリーヴのFRITTOをとても気に入って持って帰りたいと言う。しーちゃんもこういう外人らしい物はお好みで‘本当はロマーノ’なのだ。こんな時にはシニョリーナを呼ぼう。シニョーラじゃ動きが鈍いからね。
そう、気が付けば店内は大混雑。私達が入ったのは1便(いちびん)の時間だったのですいていたけど、とても人気のある店らしいのです。
えーと、持って帰りたいっていわなきゃ…
「これ持って帰るから、アルミ箔ちょうだい」 いくらなんでもそれじゃわかんないだろ、
「クエスト ボーノ ボーノ」 まず、とてもおいしかったことを伝え、
「クエスト ポルターレ」 ああ通じた。
いつものことながら宇宙人みたいな会話でなさけない。「コレウマイ」「コレモッテク」 上野あたりで偽造テレフォンカードを売ってるイラン人だってもっとマシな言葉を話すのに…. (ゆきこ)
 

カストローニそしてまた、靴屋と食材屋のはしごであります。さすがに今日は進みました。なにしろもう買う物が決まっているからです。コーヒーが5個に、ブーツが1足の予定でしたがなんか3足も4足も買ってなかった?バック買ってた人もいたな。あー大好きなこの通りとも今日でお別れです。ちんみはトンバのヌード写真が見たくて、怪しい雑誌をスタンドで買いました。 (ちんみ)
 

さあ、買物、買物。ウインドーをのぞきながら歩いていると、かわいいがやけに高い服があった。「うわぁー、トロッポ カーロ」なんて大さわぎしながらタグを見たら、プラダと書いてあった。日本とくらべるとすごく安いけど、こっちでもブラント物は高い。もちろん素通りだ。靴屋と食材屋て目的の物をGET。特に靴、『35』はサンプルサイズらしく掘出し物がいっぱい。バックも手に入れました。トコトコ歩いていると露店のスタンドにトンバのポスターが貼ってあるのを発見、しかもヌードだ。「ちんみ、トンバのヌードだよ」色物がお好きな班長さんはスタンドのおやじに「この本はどれ?」「これだよ」答えながらおやじはニヤニヤしている。エッチな本らしい。
さすがに2回目なのでCola di Rienzo無事通過、ポポロ広場を目指して先へ歩きます。 (ゆきこ)
 

PM3:00 ポポロ広場
大好きな通りをずーと歩いてくると、ポポロ広場です。ここには有名な双子教会もあります。でもちんみがみたいのはS.M.デル·ポポロ教会です。しかしまたしても‘キューソ’。4時にならないと開きません。それならばということで、今回の旅で初めてのカフェでお茶でも飲みましょうか。
ビンボー旅行にカフェはむきません。外のテーブルに座ってお茶を飲むとベラボーな値段が取られます。ビンボー人はBARでお茶を飲みます。だいたい、ふつうの通りにはBARしかありません。カフェがあるのは高級な大通りや広場だけです。だから私たちは滅多にカフェに行き当たりません。でもしーちゃんにも一回くらいふつうの旅行者の気分を味わっていただきたく、贅沢することにしました。
おーさすがです。日本人のお姉さんたちもお茶を飲んでいます。こんなとき、自分の身なりも省みず、一番前の真ん中にさっさと座ってしまうのがちんみです。
しかし、カフェの外のテーブルというのは不思議な空間です。自分は見られているという感覚はまるでなく、道行く人を眺めているのですが、前を通る人々は「ビンボーそうな日本人だなぁー。こんなやつらもいるんだなぁー」と思ってみていることでしょう。
ぼよーんとしていると、松葉杖をついたお姉さんが歩いてきました。
「ねぇ、この街って障害者の人にすごく不親切で不便なんじゃない?」としーちゃん。いいことに気がつくなぁ。ホントだよね、こんな石畳だらけで凸凹して、車は猛スピードで走ってるし、目が見えない人はお手上げだと思う。考えて見ればローマに来てから障害者を見たのはこのお姉さんが初めてじゃないかしら?他のいわゆる欧米諸国では、別の意味で意識しないほどもっとたくさん車椅子の人とかいるよね。考えさせられてしまった一場面です。
さて、さっき買った怪しい雑誌を見てみると、ホントに怪しい雑誌でした。スタンドのじじいが「ひひっ」と笑っていたのもうなずけます。おまけに、トンバのヌードはどこにもないぞー。じじい、嘘つくなよー。 (ちんみ)
 

双子教会の前でお茶をしようとすると、対称的な位置にカフェが2軒。なのにかたっぽにはひとっこひとりいません。なぜ?あんまり閑散としているので、不気味に思い、人がたくさん入ってる方にします。
注文をしてなごやかにお茶。荷物がいっぱいで、カフェでお茶だもん、もう誰が見たってバリバリの観光客よ。(かなり白慢げ)
双子教会を外から見てポポロ門の説明をちんみに聞く。ホントに頼れるガイドさんだ。
そういえば、はじっこに座ってた日本人のお嬢さんにシャッター押してくださいって頼まれた。きっと日本人がくるのをジッと待っていたんだろう。その2人連れがカメリエレと注文した、しない、でもめている。それを横目で見ていたのに、いざ自分達がお会計をしてもらう時になって、金額を聞いたとたんちんみと私、声をそろえて「トロッポカーロ」きっとここのカメリエレは日本人が嫌いになるだろう。(ゆきこ)
 

おーい、4時だよー、開けてくれよー。
オーやっと開いた。S.M.デル·ポポロ教会。
騒いだわりにはよく覚えていません。ラファエロだのカラヴァッジョだの有名な作品がてんこ盛りの教会なんだけどなぁ。この後の『あーっ』のインパクトが強すぎるんだなぁ。(ちんみ)
 

カフェを出て(…と言っても最初から外だよ)S.Maria del Popolo 教会に入ろうとしたけどまだCHIUSO。入口でちょっと待つ。中を見て、そこからTAXIに乗る。1日に2回もTAXIに乗るなんて、みんなチョットお金持ってるからって、調子にのってるゼ。
ここからすぐ裏のとこには、ローマの休日でグレゴリー・ペックが住んていたマルグッタ通りがあったんだけど、そこは通らずにコルソ通りを S.Maria della Vittorio 教会へ向う。 (ゆきこ)
 

PM4:30 『あーっ』
今日は贅沢な日です。またTAXIに乗ってしまいました。さすがに滞在日数が残り少なくなってくると、悠長にバスに乗ったり歩いたりしていては、時間内にまわれないということになりまして……。これだもん、ローマに2日なんて人は観光バスかTAXIになっちゃうよね。
で、着いた先はあのS.M.デラ·ヴィットリア教会。ちんみが大好きな『あーっ』のある所です。どうですかみなさん。すばらしいでしょう。好き、嫌いはともかく、今までの教会に対するイメージはぶっ飛びます。すごいです。やっぱりすごい!これがサン·ピエトロのように巨大な建物であったなら、ここまで完璧に装飾することは難しかったと思うけど、この程良い空間。舞台美術そのものです。ちんみだけでなく、雪子もしーちゃんも「すっげー!!」でした。  (ちんみ)
 

ヴィットリオやっと念願の『あぁ』に御対面。“あぁ”とは、上からは後光がさしていて「あぁ」となっている女人と、まわりのオヤジどもがヒソヒソと「ほらほら、イっちゃってますよ」と話している像だ。(どんな像だよっ)この女人の御召し物がまたスゴイのだ。大埋石なのにクシャクシャしてるんだもん、『ムニュッ』の指のくいこみ具合といい『あぁ』やこのあとに見る『あぁ‐ん』の衣服の乱れといいダーリンが遊び人だったのは間違いないな。
大埋石の色の組合わせとか天井に続く天使も良くって、あんぐりと口をあいて見てしまいます。いろんな教会の天井を見てダマシ絵にだまされ、もうこんな絵にはダマサれないぞ、と思っていると本物の像だったりして…素直な私は何度ダマサれたことでしょう。 (ゆきこ)
 

外に出ると、なぜか道路の街路樹にレモンのようなはっさくのような黄色い果物がなっていました。何でしょう? (ちんみ)
 

PM5:00 マエストロ
こないだとは違う道を通ってみようなんていいながら歩いていると、怪しい店?を発見。
素焼きの鉢とか彫刻、絵付けしたタイルなんかが門のなかの庭にたくさんおかれています。ここは店なのか?と思いながらもずかずか入っていく。怒られたら「いやー、俺たちゃ日本人の観光客だ。許してくんな」といういつものそぶりで逃げ出せばいいや。なんか若いおっちゃんがいる。にこにこしている。大丈夫みたいだ。
若いおっちゃんといったけど、たぶんちんみと変わらないぐらいの兄ちゃんだ。見事だ。見事に英語は通じない。私たちは「マエストロ」というイタリア語だけは解った。どうやら兄ちゃんが親方で、ここで焼いているらしい。
いっぱい欲しい物はあるけれど、持って帰ることを思うと心が鈍る。ちんみはあんなに本を買ってしまった。雪子はあんなに「オーリオ」を買ってしまった。もちろんしーちゃんはあ~んなに靴を買ってしまった。「もてない…」と言うのが3人の共通した意見だ。
私たちはビンボー人だ。別便で送ったり、ましてや超過料金を払うなんてことはありえない。大物はあきらめる。でもやっぱりかわいいので、タイルを買うことにした。犬のやつもあるので、順子さんのおみやげにしよう。
この重さ、このときは軽く考えていたんだけど、時間が経つにつれて重要なポジションをしめることになるとは思わなかった。
このときお兄ちゃんが一生懸命犬の説明をしてた。もちろん私たちは全然解らなかったが「ポンペイ」の一言からちんみが想像した。ポンペイの遺跡の道路の部分にはいろんな看板の役目をする絵が描かれていました。女の人の絵が描かれていてその絵をたどって行くと、売春宿に行き着くというのは有名な話であります。そのようなものの中にこの犬の絵もあったような気がします。
どんな意味だかは判りませんが。とりあえず、兄ちゃんの説明にちんみは一生懸命足で地面をぐりぐりやってたら、兄ちゃん(気易く兄ちゃんなんて呼んではいけない。彼はマエストロだ!)がうなずいていたので、当たらずとも遠からじというところでしょう。 (ちんみ)
 

“あぁ”とお別れしてフラフラ歩いていました。Via Torino 辺りの坂道を下りていると、花も植木もない園芸屋というか、墓石のない石材屋……みたいな店がありました。テラコッタ系の壷とか壁掛けやタイルなんかを置いてあります。
興味があれば何処てもズカズカ入っていく私達、小売してくれるのか、この地面にころがってるのは商品なのかわからないけど、とりあえず
「Buon Giorno!」うん。大丈夫らしい。
お兄ちゃんが2人「Buon giorno」とニコニコしている。
「これ、これ、いくらぁ?」いつものクエスト攻撃の開始だ。
「ダメだ、英語通じない。」
そう言ってるのはちんみだけ、し一ちゃんも私もお兄ちゃんと同じくらいイヌわからないので、全然関係ないのサ。順子さんのお土産だからやっぱり“犬”だよね、「Cane,Cane」を連発すると3種類ぐらい“犬”がでてきた。この犬はポンペイの遺跡のパクリらしい。ちんみとお兄ちゃんが日本語とイタリア話で「そうだ、そうだ」とうなずきあっている。
もう1人のお兄ちゃんは絵付けをしているようだ。小屋の中に窯らしき物を発見したので、ここで焼いているのかと聞くと「そうだよ、オレが焼いてるんだせ」という。「オー、マエストロ!」職人さんなんだね。
もっと時間に余裕があれば名前や絵柄をリクエストして、オーダタイルを作ってもらえるかもしれないのにいくらなんでも今日たのんで明日じゃムリだ、残念。
しーちゃんは、さんざん迷って「高いからやめよう。」本気でビンボーモ一ド入ってるね。結局、お土産のタイルを買ってナッツィオナーレ通りにでる。  (ゆきこ)
 

PM5:30 ナツィオナーレ通り
ナツィオナーレ通りに出ました。こないだも通ったドラゴンガーデンがある道です。途中美容室によって髪留め?を買いました。なぜかここはちんみが前回来たときも立ち寄って同じ髪飾りを買った所なのです。ここにはゲイのオヤジがいます。前回はそのオヤジがうるさいほどにあーだこーだ言ってましたが、今回はそんなに盛り上がることもありませんでした。 (ちんみ)
 

美容院に行った。髪を結ぶへんなボンボンを買うためだ。この美容院にはゲイのおやじがいる。ちんみは「前に来た時もいた。」と言っている。何処でもこういう人はこういうポーズでいるもんだ。「あ一ら、アンタの髪にはコッチの色よ‐ッ」「ありがと、ありがと、そりゃ金髪じゃないのはわかってるよ」相手をしていても良いが、またもや外はトップリと日が暮れてしまっているのだ。さっさと決めて外へでた。 (ゆきこ)
 

途中でおしゃれなレース屋さんを発見。
「いいなぁ、きれいだな」
「ちんみさぁ、イタリア人と結婚しなよ、あの教会で結婚式あげてさ。そしたらまたイタリア来れるし、そうしな。そしたらこのベット·カバー買ってあげるよー。こうちゃる、こうちゃる。」
「うん。そうだね。でもさ、あたしたちミモザ花粉にやられちゃうからさぁ。イタリア人の愛の告白が受けとめられないじゃん。難しいよね。ミモザ花粉さえなけりゃあねぇ」ミモザ
「残念だねえ」
と、花粉症を呪う私たちでした。
そうです。初日に買って、二つの部屋に分けて飾っていたミモザですが、2~3日たつと雪子とちんみはなんかくしゃみが出るのです。しーちゃんは喉がいがいがするといってます。こ、これは、もしかして……。そうです。いわれて見ればミモザは花粉の固まりのような花であります。ロマンティックな花も私たちには、鼻水の種なのでした。 (ちんみ)
 

PM6:00 ミネルヴァ広場
ミネルバさて、急いで急いで、ホテルのそばのS.M.ソプラ·ミネルヴァ教会です。象に乗ったオベリスクが前の広場にあります。かわいい。この教会は「シエナのカテリーナ」の遺骸が主祭壇の下にあったところだよ。
この界隈は宗教グッズの店が並んでいるところです。「昨日、今日、明日」の映画の中でも売春婦のソフィア・ローレンに恋する神学生の男の子が、ろうそくを買っているソフィア・ローレンをいじいじと店の外から眺めている場面に出てきます。この店かしら?あの店かしら?と眺めていると
「ここ入ろうよ!」としーちゃん。
「もう終わりくさいよー」
「あら、でも大丈夫みたいだねー」
ここは家庭雑貨のお店でした。なぜしーちゃんがここに入りたがったかというと、しーちゃんはウインドーのポットに一目惚れしてしまったからなのです。しばらくお店の中をながめわたし、あのポットはウインドーにしかないと判ると、しーちゃんは店のおばさんをウインドーの裏によび、
「あれ、あれ、あれが欲しいのよー」
とぐいぐい手をのばします。右手はウインドーの中でぐいぐいしてるんだけど、その間左手は店の中の商品を別な意味でぐいぐいしていました。おばさんはそんなしーちゃんの左手におびえて、おろおろ。
「しーちゃん、しーちゃん、おばさんが取ってくれるからこっちおいで」
の一言で手を止めたしーちゃんにおばさん、ホッ。
めでたくペンギンさんのような赤いポットと青いポットが私たちの前に。
「うーん、かわいいねぇー」
「でも、かさばるねー」
この頃になると、日々積み重ね続けられる毎日の戦利品の山に一抹の不安を覚えている私たち。さすがのおとぼけしーちゃんですら、帰りのことを気にして悩んでいる様子。
しかし、すでに想像するのも怖いほどに本をしこたま買い込んだちんみなんか、
「なんとかなるんじゃない」と無責任にも言いのける。
「そだよね、だいじょうぶだよね。赤にしようかな、青にしようかな、決められないな」と危うく両方買いそうなしーちゃん。さすがにそれは押しとどめて、赤いペンギンさんを無事購入。
「へへへぇー」と満足そうなしーちゃん。おめでとう。(ちんみ)
 

またまたパンテオンのそばを通る。私たちは滞在中、一日一回はここの周りをぐるぐるしていました。でもいつも夜なので、パンテオンの中に入ったことは一度もありません。
パンテオンの横の版画屋さんにピラネージを発見。また入り込み「パンテオンの横にあるんだからパンテオンがあるだろう」とばかりにオヤジに注文を出すがなかなか見つからない。
「こりゃどうだ、ありゃどうだ」
といろいろ指さされるが、
「オヤジー、あたしはピラネージの作品集もってんだ。その絵は本に載っている。あたしが欲しいのはパンテオンだけが描かれているやつだ」
パンテオンンと言ってやりたいが、なにしろイタリア語はままならず、首をふるだけなのがもどかしい。すったもんだのあげく着色されたものを発見。色はない方がいいなとリクエストするが、お得意の
「オワッタ」
はいはい、わかりました。これで我慢します。
途中銀屋さんによって、今回の旅行の面倒を見てくれた角谷君へのおみやげを買う。彼は若34歳の若さで(たしかそんな歳だ、ちんみより年下なのはまちがいない)このたび家を新築した。土地は親の残してくれたものではあるが、家だけだって3,000万円は下らない。たいしたものだ。その新築祝いもかねるのでちょっとは奮発してもいいけど。
「ゆかりちゃん、そんなに気い使わないでくださいよ。家新築したんでね。いやちょっとほら、玄関ホールかなんかに置けるすえ置きのあるでしょ、柱時計かなんか、アンティークの。ねえ、あんなのいいですよねー、わっはっは」
と言われていたので、思いきって買ってあげる。なに、ほんの700万円くらいだ。そんなわけねえだろう。
言われていたものの200分の1位の大きさの象さんの時計を買ってあげる。銀製だぞ。ありがたくちょうだいしろ。今回の旅で最初で最後のカードをきった。(いや、冷静に考えればそれほどの金額じゃないんです。でも、毎日ビンボーな生活してたもんで、つい高いと思って、思わずカードでお願いしますと言ってしまいました。)(ちんみ)
 

PM8:00 ホテルに帰ろうよ~
収穫26晩御飯はどうしようかと言いながら歩く。
「一回ホテルに戻ろうよ」と雪子が言う。
「そうだね」と言ってホテルに戻る。
ホテルに戻って今日の戦利品を並べて遊ぶ。
「雪ちゃん、帰りたかったはずだよ。すっごい重いよこのタイル!!!」としーちゃん叫ぶ。
「どらどら、ホントだー。雪子かわいそー」とちんみ。
「うん、重かったの」とけなげな雪子。あーいちばん若いって大変ね。
もっともしーちゃんはコーヒーの缶5個とポットとブーツ2足、ちんみはいつものように本を抱えていたので、誰も手は空いてなかったけどさ、交代してあげればよかったね。ごめんね雪ちゃん。 (ちんみ)
 

PM9:00 マガジンスタンドで
今晩と明日の晩でローマの夜も終わりなので、しーちゃんが持ってきた日本食を片づけることにしようということになった。
「ほんなら、水買ってくるね。」としーちゃんとちんみは夜の街へ。
いや別にここでわざわざ「夜の街」とことわってるけど怖いからじゃないのよ。夜で店も開いてないけど、ただ水を買いに行くだけなんだけど何となく楽しいものなんです。何となくどころじゃなかったけど。
店は閉まっているけど、いつものマガジンスタンドは開いている。そんなとこでもしげしげ見ちゃうのが私たち。ナイフやフォーク、あげくのはては缶詰まで付いているお料理の本があったり、CD付きのパソコン雑誌があったり、エッチな本もCD付きで、「ふーん、思いがけないほどコンピューターは普及しているんだなあ、こんな頭弱そうな(失礼)国民性なのに」とみょうに感心してしまうちんみであった。
しーちゃんはといえば
「ねえ、こーゆーので日本語のがあればいいのにね」
と『ローマ』と書かれたガイドブックを指さす。もしもし、それ日本語なんですけど。
「やっだー、日本語ー、ホントだー」
さすがに時々イタリア語がペラペラになるしーちゃんだ。このときは頭が外人だったに違いない。 (ちんみ)
 

PM10:00 やっとごはん
無事『ローマ』のガイドブックと水を手にホテルに戻る。
「しーちゃんて、やっぱ外人だぜ」とか言いながら、ウルトラ日本食を作る。
ごはん今日は赤飯もある。本当にびっくりしてしまう。日本の技術はすばらしい。完璧にごはん1ごはんだ。そこらの日本国内でもまずい飯屋の銀シャリよりずーとおいしい。なんかあまりのすばらしさに、日本にいるような気分になった。
 

 

 

 

1月27日(土) 晴れ

 

二人

 

 

AM9:00 名所巡り
今日でローマは最後の日だ。明日は起きたら帰るだけ。楽しい一日になりますように。
昨日は雨で、パスしてしまったので晴れてよかった。今日は正統派ローマ見物の日だ。
コロッセオも真実の口もまだ見ていない私たちだ。ちんみと雪子はともかく、このまま帰したんではしーちゃんが日本に帰ってから「どこ見てきたのぉ~」と言われてしまうに違いない。 (ちんみ)
 

出発前に思い出して外の公衆電話でJALにTEL。実は夕べ
「ねえ、ローマの空港税っていくら?」
という話になり、いろいろ調べたんだけど不明。もう最後の一日を残すのみの私たち。ちゃーんとお金をよけていなけりゃ、空港税が払えないはめになるのは目に見えている。
で、フロントに電話で聞いたんだけどなんだかとっても高いこといわれて、「そんなはずはない!」と何の根拠もないがきっぱり否定。
「明日、JALかJCBプラザに電話して聞いてみよう」
ということになっていたのです。ところが、電話がかけられません。いくらコインを入れても出てきてしまいます。お金入れるとこにはちゃんとそのコインの数字が書いてあるのに。
近くに立ってた番兵の兄ちゃんに
「電話、これ?」
とすばらしいイタリア語を口にしながら、手にコインをひろげる雪子。
「これ」
と兄ちゃんが教えてくれたコインでもかかりません。兄ちゃんもいっしょに見てくれました。なぜか、コインは使えずカードのみ使用できる状態になってたんです。
ちきしょー。電話はまた後でトライしなければなりません。  (ちんみ)
 

まずはカピトリーノの丘からフォロ・ロマーノを眺めよう。それにしても、本当によい場所にあったのだこのホテルは。スペイン階段だって、カピトリーノの丘だって、トレヴィの泉だって寄り道さえしなければ、5分で歩ける。パンテオンなんかうちの庭だ。
地下鉄が発達していなくって、車は「センサ・ウニコ」一方通行ばっかり。もともとそんなに大きな街じゃないので、歩いてまわるのが一番だ。
もっとも歩いてまわるといちいちお店にひっかっかってしまうので、時間は電車やバスに乗るのと同じくらいかかってはいるけど。そのぶん道はよく頭にはいった。 (ちんみ)
 

カピtpローノ

明日は9:00AMにピックアップなので今日がほとんど最終日、心残りのないように動かないといけないので、大車輪になるゾッ。
まず、歩いていつも目印にしていたヴィットリオエマヌエレ2世記念堂の横を抜けカピトリーノの丘へ、ちんみは横の階段からあがると言うので、し一ちゃんと私は正面階段へ。
観光客を見ると「あッ写真」と思い出す。
し一ちゃんに「撮ってあげるよー」と言うと
「えっここ有名なとこなの?」
そう、ここはこれといってスゴイ物があるわけじゃないけど、し一ちゃんが買った“日本語”のガイドブックの最初のぺ‐ジに載っている所なんだよ。
カンピドリオ広場の裏からはフォロロマーノが一望できる。これだけ見ればフォロロマーノは充分でしょう。市庁舎の横を通ってコロッセオに向かう。怪しい物売りもいるし、
「しーちゃん、ここからはホントに危ないから気を付けてね。」
フォーリインペリア通りを進み、コロッセオが見えてきた頃、日本人観光客のお嬢さん2人組がバッグをたすきがけにし、緊張感いっぱいで歩いてきた。まるで20年前の農協ツアーみたいだけど、いまだに添乗員付きのツアーでは自由時間は油断しないで気を抜かず、との御指導がある。よかったあーツアーじゃなくって。
などと思っているとジプシーの女の子2人がダンボールの切れっぱしを持って近づいて来た。くるぞ、くるぞ、ホラ来た。
シーバオクし一ちゃんに近寄りリュックのファスナーをガーッと開けた。
「ざけんじゃねーよ!何やってんだよー」
と日本話で怒鳴ったらいなくなった。
「しーちゃん、ファスナー開けられちゃったよ」
「えっ?」
しーちゃんは自分が被害にあいそうだったのに
「お金、入ってないもん」
ノンキなもんだ。
ジプシーも相手を選んだ方がいいよ、でも私やちんみじゃなくてしーちゃんを狙った所はサスガ。それに動きがとても速い、きっと訓練を重ねているのね。
と感心している場合ではない、すっかりガラが悪くなってしまったワ。オホホホッ日本に帰るまでには直さなくっちゃ。と思う反面、今度来るまでには、迫力のある怒鳴りかたを身に付けなくっちゃね、と思う。
一瞬の事件だったけどいい記念になったよね,なんかみんなうれしそうじゃん。
(ゆきこ)
 

さて目印のヴィットリオ・エマヌエーレ2世堂の脇を通り、カピトリーノの丘へ。しーちゃんと雪子は正面階段から、ちんみは隣の教会の階段から丘の上を目指しました。あーしんど、息が切れるぜぃ。ちんみは教会を見学してから横へ移動してカピトリーノの丘へ。無事二人に会い、フォロ·ロマーノを眺める。ふーん。
フォロ·ロマーノの脇を歩きながらコロッセオへ向かう。途中雪子はびよんびよんの怪しい黒人が売っているお人形を欲しがる。
さあ、ここら辺は観光のメッカだ。ジプシーのメッカでもある。いろんな物売りもゴロゴロしている。笑いながら歩いていると、
「ばっきゃろー!なにやってんだよ!!!」
と雪子の怒鳴り声。わーいジプシーだぁ。
しーちゃんのリュックのファスナーを開けている!
「さっさとむこうへ行きな!!」
と雪子に怒られて、それと同時に(あ、こいつら金もってねえな)とジプシーも気づいたのでしょう、少女たちは退散しました。
こんなときに不謹慎ですが、ちんみは初めてこーゆーめにあったのでなんだか人並みな体験をしたなぁとうれしくなりました。
自慢じゃないけど、前回このコロッセオを歩いているときにはジプシーに間違えられて、反対側からあるいてきた外人観光客がおのれの持っているバッグをギューウと握りしめ、緊張しながら足早に私たちの横を通り過ぎる、という経験をしたちんみです。
今回も雪子とちんみは手ぶらです。リュックを背負っているシーちゃんがいればこその体験でした。ありがたや。
とうのしーちゃんといえば、
「雪ちゃんかっこいいー!!!すごいなぁ」 なんてへらへらしてます。
「ほらしーちゃん気をつけないと、こんなめに遭っちゃうんだよー。でも、これでフル·コースだね」 と雪子。
「これが、正しいローマの観光だ!」 とちんみ。
「へへ、でもなーんにも入ってないのにねー」 としーちゃん。
なんか3人ともボケてないか?とにもかくにも正統派のローマ観光をする予定だった私たちは、すっかり満足してコロッセオへ。 (ちんみ)
 

korosseo

ちんみがバスの路線を調べてくれている間、しーちゃんと2人コロッセオの中に入る。この中に入るのは13年ぶり、でもローマ帝国時代からあったものだもん。補修工事以外はたいした変化があるわけがない。
でも、観光客用のビデオ撮影(お付きの者がビデオカメラを持ってついてまわるサービス)をしているブルジョア日本人を見て、しーちゃんだって本当は…..ちょっと申し訳なく思う。
写真を撮って外にでるとちんみが待っていた。その妖しさは物売りの仲間かと思うほど。「真実の口までバスはないよ。」という。じゃあ仕方がない歩きだね。
馬やゴム人形の物売りの間をテレテレと歩く、けっこうキョリがあるんだね。前の方を外人が(自分達だって外人のくせに)同じ方向に歩いている。地図なんて見てるけど、どーせ真実の口に行くんでしょ。ちんみがアッチ、と指をさしてあげたのに怪しいと思ったのかどこかに行ってしまった。
道ばたには手ぶくろやボロボロの靴がかたっぽづつ落ちている。それを見付けるたびに「…これは使えないね」「拾ってもダメだね」と誰かがつぶやいている。これじやビンボー外人にも避けられるわけだ。
チェルコ・マッシモの横を歩いていると変わった虫がいた。てんとう虫というかカメ虫というかスカラベにもちょっと似ている。めずらしいね、などと言っているうちは良かったが、ふと顔を上げると「ギャーッ」松の木いっぱいにそいつが張付いていた。逃げるようにそこを離れる。
観光バスがブンブン横を通り過ぎて行く。「乗せてくれー!」この通りに私達の他には反対方向から来るお嬢さん2人。「がんばれー」   (ゆきこ)
 

ちんみは何とか真実の口までいけるバスを探そうとバス停へ。雪子としーちゃんはコロッセオの見学です。
バス停からコロッセオの入り口付近へ移動して、二人を待つちんみ。物売りが、観光客を捕まえようと必死です。こんなとこに一人で座ってる女は不気味なのでしょうか?ボーっとたばこなんか吸ってていいカモのように思うんだけど、誰も寄ってきません。うれしいやら、悲しいやら。
二人が戻ってきました。「真実の口までいけるバスはここから出てないの。しょうがないから歩こうね。」あー最終日だというのにまたこんなのんきなことを言ってしまうちんみ。それを疑いもしない二人。いいチームです。
観光客に混じって歩きながらひらめくちんみ。つかつかと記念撮影をしているのを見守っている日本人添乗員の所に寄っていって、
「あのー、ローマの空港税っていくらですか?」
「はっ?ローマは取りませんよ」
やったー、空港税はタダだって。おまけに電話代までもうかっちゃった。
しかし、いきなり寄ってきてこんなこと聞くなんて、変なやつだと思っただろうな。まあいいさ。おかげでお金を残しておく必要がないことがわかったんだから。 (ちんみ)
 

ローマの空港税:ローマばかりではありません。ヨーロッパの空港はほとんど、エア・チケット発券時に徴収しているのだそうです。もちろん私達もAIRの代金に含まれています。だから、空港では払う必要がないのです。

 

で、真実の口めざして歩き出したんですが、観光客の団体は待たせてあるバスに吸い込まれていきます。すぐに私たちだけになってしまいました。前方に兄ちゃん二人組。君たちもビンボーなんだね。好感もてるよ。やおら地図を見る二人。どうせ君たちもコロッセオから真実の口行くんでしょうが、こっちこっち。とちんみは勝手に兄ちゃんたちに向かって道を指さしたりしてます。
前方から不思議な女が歩いてきました。足早に私たちとすれ違います。
「なんか、へんだなぁ」
「へんだよね、あの人うちの近所の人たちじゃないかしら」
「そーだよ、あいつは女装だ!オカマだぁ!」と喜んでいるちんみとしーちゃん。
「えー、なになに?」と見逃した雪ちゃん、残念でした。
広大なチルコ・マッシモという競技場跡を横に見ながら歩きます。
「なんかさー、天気も良くて気持ちいいねー」
「ほんとだねー。あっこれ変な虫。きれいだねー」
「ほら、こっちにもいるよ…。ぎゃー!!!」
一匹発見したときはテントウムシの変形みたいできれいだね、なんて言ってたんだけど、松の木にびっしりへばりついているのを見たら気持ち悪くなりました。
もうすぐ真実の口というところで、日本のお嬢さんがこっちに向かって歩いてきます。
「がんばれー」
「がんばりまーす」
登山じゃないんだからさ。でもこういう健気な子を見ると声をかけずにはいられないちんみなのです。でもあの子たちの格好は、私たちより数段リッチそうでした。 (ちんみ)
 

kuchi-叫びながら歩いて真実の口に着くとバスとは時間がずれたらしく、誰もいない。日頃は人をだまくらかすあこぎな商売をしている私達、真の嘘つきかどうか手をいれてみた。
(結果は写真を見てね。)みんな手をつっこんでるけど、コレってマンホールのフタだったんだよね。
kuchiyuki普通ツアーとかだとココに手を入れたら帰るけど、本当はちゃんと教会で S.M.in Cosmedinっていう。
中に入るとなんてことはないただの教会だけど、なんと絵ハガキが200リラで売っていた。200リラ、14円だ。なんてことだろうヴァチカン辺りでは5、6倍はするのに……。順子さんに出す絵ハガキをかった。(ゆきこ)
 

kuchiyukariさて、真実の口に到着です。ここはS.M.イン·コスメディン教会というちゃんとした名前のある教会なのですが、みな「真実の口」と呼んでしまいます。お約束の写真も撮りました。ちゃんと教会内部も見学しました。なんてことないけどね。
それよりもすばらしいのはここの売店であります。たいてい1,000リラ安くても800か700リラで売っている絵はがきが、ここにはなんと300リラ。200リラのもあります。この頃にはスペシャルビンボーモードにはいっている私たちが飛びついたのはもちろんです。それでも、かんじんの真実の口が写っているのは800リラとかしちゃって、商売上手だなあ、なんてみょうに感心。順子さんへのはがきもコロッセオが写っている200リラのを買いました。
「全部ここで買えばよかったなぁ」なんて言い出す始末であります。 (ちんみ)
 

AM11:30 トラステヴェレ
そこから川を渡ってトラステヴェレ地区へ。“テヴェレ川のむこう”という文字どおりの地区です。橋を渡りながら、
「あっ、雪ちゃんここだよ」
「ほんとだー」
イタリアは車は右側通行なんだけど、元々あった道路の関係から1カ所だけ左側通行になってしまっている橋があるというのです。クイズにもなったんだって。それがここのようです。偶然ですが、そんな珍しいとこまで歩いてしまいました。
何気なく反対側を見ると、マントなんか颯爽とひるがえした日本人のおばさま3人組がタクシーを止めて乗り込んでいます。着てるものといい、歩いている場所といい、相当ハイ·クラスの旅慣れたおばさま軍団に違いありません。
「ほんとーはしーちゃんも、あっちのチームなのにね」
「そーだよね」
「え?そっかなあ。いいじゃん、こっちの方が楽しそうだよ。また、こーゆーので来ようね。」
う、うれしい。(ちんみ)
 

橋

テベレ河にかかる僑。ここだけ車が左側通行でちょっと珍しい所。前に来たとき教えてもらってたのに、どの辺だかぜーんぜん覚えていなかったのサ。偶然だけど通れてラッキー。道の反対側則ではアッパーな御婦人3人組が、スッと手を上げタクシーに乗込んだ。
「ごめんねしーちゃん、本当はあっちのゴージャスな組なのにね。」
それにしてもイタリア人の女の人は50歳過ぎたらミンクを着る決まりでもあるのかな。雨が上がって暑い位になったのに、みんな、みんな、ミンクを着ているのだ。(ゆきこ)
 

トラステヴェレ地区に入りました。またしても野生の勘で歩き出します。おもて歩くより、中の方が楽しそうだよね。とか言ってどんどん歩いたけど、道がわからなくなりました。しかたないからおもて通りに出て歩きだします。
「お腹空いたね」
「うん」
「でも、お昼になる前にあの教会へ行かないとまた‘キューソ’になっちゃうんだよ」
「ガンバレー、もうちょっとのはずだ」
おー、滑り込みセーフ!間に合った。S.フランチェスコ·ア·リーパ教会。『あーっ』に続き、ベルニーニの創った『あぁ~ん』がある教会である。これも思いっきりうけました。まったくなんで教会にこんな色っぽい彫刻を置くのでしょう。3人でかじりついて見ていると、お昼になったらしくてお兄ちゃんが追い出しに来ました。残念、もうちょっと見ていたかったね。(ちんみ)
 

リーパ

トラステベレはバリバリの下町、川を渡ると空気の味が違う。
このあたりで有名なのは、サバティーニ。でもそんな所に用はない。
教会が閉まる前に急げ、急げ。引率付きの修学旅行の様にちんみにせかされS.Francesco a Ripa教会へ。ここにはダーリンの『あぁーん』がある。こんな物が教会にあっていいの?
パンテオンのロバの耳といい、数々の蜂、などダーリンの発想はスゴイ。
例えば、奈良東大寺の大仏のオデコにPOLAの“P”を彫りこんでほしいと言った所で、誰がそんな事してくれるだろう?……ダーリンなら「ゆかり、君のために。」なんてやってくれそうな気がする。(ちんみが大金持ちだったら、だけど)
神聖なる教会でそんなことを考えながち『あぁーん』に見とれていると、時間切れで追い出された。残念。(ゆきこ)
 

トラステベレ
 

PM0:30 ボーノ ボーノ! モルト ボーノ!!!
さて、ごはんだ、ごはんだ。大通りに出たらレストランがありません。さっき中を迷いながらゴチョゴチョ歩いているときは、おいしそうなレストランがあったのに。戻るのもイヤだなぁ。今日はいっぱい歩いて、お茶も飲んでいない私たち、とにかくどこかに腰を落ち着けたい。でも店はない、おなかが空いて限界だ。
「しょーがない、さっき角にあったBARにしよう。あそこでとりあえず、ピザでもつまもう」
「あそこイスあったよ」
よっしゃ、よっしゃ。角のピザ屋に戻る。
雪ちゃんは「ポモドーロ、ピッコロ、ピッコロ」
しーちゃんは「フロマージュ、ピッコロ、ピッコロ」
ちんみは「ズッキーニ、それ全部」
BARの中のスツールに座って食べ始めるが、ざわざわしていて落ち着かない。おまけに禁煙だ。
「ねえ、外行って公園のベンチででも食べない?」とピザを手に外に出る私たち。
だが、公園なんて見あたらない、早く落ち着いて食べたい。
「ねえ、しーちゃん。思いっきりビンボーしてもいい?」
「いいよ」
というわけで、道ばたの脇の建物の階段に腰を下ろす3人であった。ピザおなかが空いていたので、無言で食べる3人。悪い癖である。しかしこういうときはおいしいのだ。「ピッコロ、ピッコロ」のしーちゃんと雪子はあっという間に食べ終わる。
「なんかさぁ、すご~く、おいしくなかった?」
「おいしかった」
「なんてとこだ?この店は?もっといっぱい買えばよかった」
そのころ、「それ全部」といったちんみはまだ食べていた。
「ほんとにおいしいよね。しーちゃんちょっと食べてみる?」
「うん」ぱくっ。「おいしーい。今度来たときはこれ頼もう」
本当においしかったです。‘フロンティーニ’さんちのピザ。
雪子はピザが包んであった紙切れをひろげながら、住所を写していました。どうやら、違う場所にもう一軒あるらしい。
次回はぜひ、もう一軒のお店にも行きたいものです。みなさんにもチョーおすすめです。これを書いてる今でもアンチョビとズッキーニの何ともいえないハーモニーが思い出されて、よだれが出そうです。 (ちんみ)
 

もうお昼。お腹すいたよ一。ごはん、ごはん。トラステベレ通りに向かう。通りには屋台の怪しい店がならんでいてミニミニ・ポルタポルテーゼという感じ。こんなにお腹がすいてるのにレストランがない。さっきまでいっぱいあったのにどうしてだろう。
もういい、そこでいい、このPIZZERIAにしよう。ちんみのガマンも限界だ。
入ったピッツェリアはFRONTINI、ピザの計り売りの店だ。私としーちゃんはピッコロづつ、ちんみは「それぜんぶ」。温めてもらって店内で食べようとしたのだけど、天気も良いし外にでる。思い切り外人することのお許しをしーちゃんにもらい、道端の階段に座り込んで食べた。うっ、うまいっ。こんなに美味しいならピッコロなんて言うんじゃなかった。
あまりのおいしさに包み紙にあった店の住所を記録する。ジャニコロの丘に姉妹店があるようだ。あー行ってみたい。どうして今頃みつけたんだろう、どうして明日は帰る日なんだろう。ピザONLYの水すらない昼食を幸せな気分ですませると、足どりも軽くトボトボからトコトコになる。
クロレッツハンバーガーショップの前を「バカだねえ、あそこに美味しいピザがあるのに、そんな物食べちゃって」なんて言いながら過ぎると、3分間写真がある。撮ってみよう。クロレッツのように3人で中に入り「パチッ」しばらく待つと、とんでもない色の写真が出てきた。すごい顔だ。1枚にしておいて良かったね。(ゆきこ)
 

PM1:30頃 カンポ・ディ・フィオーリ
さっきとは違う橋を渡って、街へ戻ります。“庶民の味方”と称されるカンポ・ディ・フィオーリ。フィオーリ広場です。広場の手前に靴屋がありました。当然のぞきます。
「あ、あの靴欲しい!」
店の奥にお姉さんを呼びに行きました。
「ごめんなさい。もう昼休みなの、後でまた来て。3時半からよ」
といわれて追い出されました。
「ちぇー、けち」 (ちんみ)
 

次はカンポ・ディ・フィオーリだ。花の広場という名のそこは…魚くさかった。
庶民の市場になっていて、うーん。例えて言うなら明るくオシャレな青森駅前市場。
さあお茶、お茶、BARの前のイスに座る。
お店の中に注文をしに行くと店員のお兄ちゃんが「シニョリーナ、注文は僕が聞きに行くから座っていてね」と言う。看板にはBARと書いてあるのにカフェのつもりらしい。でもそこで注文してしまったけど。
いつもの様に“みかん汁”を飲みながら、前の店で働いているマルコを見る。イタリア人にあるまじき働きぶりだ。キムタクを意識してか髪を後ろで結び、腰にはちんみと同じように皮のウエスト・ポーチをしている。ひと目見て“ああ、こいつは不良だな”とわかる奴だが、なんという良い働き。
でもそんなマルコの店はいろんな奴に狙われている。まず、ハト。ちょっとしたスキをみてバタバタとよってきてパクパクと商品を食べる。そしてヨレヨレのオヤジ、ギター片手にフラフラ寄ってきてそしらぬ顔でリンゴをかじっている。それを食べ終わると今度はクルミ。それを人が買っていく。誰も驚かない。
犬がマルコの命令でオヤジとハトを追払うが、奴らはなれているらしく犬と反対方向の箱をねらってパクパクと食ぺ続けるのであった。(ゆきこ)
 

広場に行くと、食品市がたってました。魚なんかも売っていて生臭いよー。とか言いながら見て歩きます。
真ん中へんまで来るとカフェがありました。ろくにご飯も食べれなかった私たちは、吸い寄せられるようにカフェのイスに座りました。
目の前は香辛料と野菜を売っている屋台です。お得意の‘スプレムータ・ディ・アランチャ’を飲みながらボーと見ているとなかなか楽しい。
まず、変なふろうしゃのオヤジがぶらぶらしています。鳩がたくさんいてピスタチオの箱や野菜の箱に隙をねらって首を突っ込んでいます。店の主人はマルコです。彼の名前は私たちが勝手に名付けました。
このマルコ、いかにもいい加減なイタリア人の風体です。髪なんか相当薄いのに、のばして結んでいます。いかにもちゃらちゃらした兄ちゃんです。このマルコが驚くほどよく働くのです。あまりの働きぶりに私たちは目がマルコに釘付けです。
香辛料なんてそんなもの、必要があれば買うけど、必要がないのに勧められたからって買うものでしょうか?それをマルコは、
「やあ、旦那、どうだいこの香辛料は、いい匂いだぜ、ちょっとかいでみなよ。ほーらいいにおいだろ。これで料理もばっちりさ、いつものパスタが、今日から100倍おいしくなるってもんさ、どうだい。ありがとう。100gでいいのかい?」
なんて言って売りつけてしまうのです。
ふろうしゃのオヤジはリンゴをかすめ取って食ってます。リンゴが食べ終わると鳩といっしょにピスタチオです。マルコもマルコんちの犬も一生懸命鳩とオヤジを追い払っています。
そのしぐさに横からイタリア語ペラペラモードのしーちゃんの日本語訳がつきます。マルコは休みなく働いています。もうやめられません。ずーと笑って見てしまいました。
ちょっとお客さんがとぎれた隙に、マルコがウエスト・ポーチからお金を取り出しました。すごい札束です!厚さ4cmくらいです。驚きました。八百屋ってそんなに儲かるの?あまりのマルコの稼ぎぶりに、誰かがマルコの嫁になる案も出ましたが、いかんせんあの薄い髪はいただけません。

そうこうしているうちにまさか靴屋が開くまでここにいるわけにも行かないし、一度ホテルに戻りましょう。ということになり、さてお勘定。ところが市がたってたくさんの人でにぎわっているこの広場。当然カフェも超満員です。店のオヤジもとっても忙しそうです。
「おーい」「おじさーん」しまいには「オヤジー」と叫んでいる変な日本人に、
「シニョーレというのよ、シニョーレと呼びなさい。それよりも彼の名前はヴァーなんとなの、ヴァーなんとかって呼んでごらんなさい」
とお上品なおばさんが声をかけてくれて、ちんみは「ヴァーなんとか」の発音練習までさせられました。
そんなことしてさわいでいたら、別のお姉さんが
「あの日本人が、勘定しろって言ってるぞ」
とオヤジに声をかけてくれて、無事オヤジがやってきた。
「イクラ?」
「エイト・タウザンド」
はいはいと10,000リラ札をだす。
オヤジ首を振りながら
「エイティーン・タウザンド」
「エイティーン?」
うんうん、うなずくオヤジ。
「ト、トロッポ・カーロ」
と思わず言ってしまったちんみ。
カフェのテラスでお茶を飲み、1,260円とられて「高い!」と条件反射で言ってしまう。いかに毎日ビンボーモードで暮らしてたかわかるでしょ。もちろんチップなんか置かないさ。 (ちんみ)
 

広場の中にはすっごくオシャレな人もいるし、とんでもないカッコの奴もいる。マルコのようなお金持ちもビンボー人も全部いっしょくたになってうごめいているのよ。今日は観光の日に決めたのにこんな所でノンキに観察している私達、大車輪はどこへやら。さあ、靴屋が開くまでは待っていられない。ホテルに帰りましょう。     (ゆきこ)
 

PM3:00 買い物だぞー
ホテルに戻りました。最終日だというのにのんびりしたもんです。どうせ4時過ぎまでお店は開かないからね。
今日はいっぱい歩いていささか疲れたね。といいながら部屋であの肩こりコロコロをいじっていた。なんかすごーく気持ちいいぞ、ほら、雪子もやってみな。
あれーすごーく気持ちいいぞ。ねえ、しーちゃんもやってごらんよ。
「こりゃ、買わなくっちゃいけないわ!」  (ちんみ)
 

やっぱりだ、やっぱりホテルでものんびりしてしまった。
シエスタの習慣は私達にむいている、ラテンの血が流れてるのかもしれないね。
あわてるコジキは貰いが少ないというけれど、私達はあわてないので収穫が多いのさ。
てもさすがに今日で最終日、買い物大車輪へ出発だ。 (ゆきこ)
 

さて、ラストスパートのお買い物です。ホテルの近所を歩くことにしましょう。
が、すごーい人です。土曜の午後、どうやら歩行者天国のようです。竹下通り状態です。ローマ中の人々が集まってきているみたいです。観光客もいますが、それ以上にローマっ子がいっせいにお買い物に繰り出してきたようです。助けてー!!というほど人がいます。こんなに人がいるところは苦手です。さっさと欲しいものだけ買って移動しましょう。
毎晩ウインドーをのぞいてふらふらしていてよかったね。「じゃあ、あそこと、あそこと、リナシェンテだけ、さっさとまわっちまいましょう」
てなわけで、まずは眼鏡屋さんへ。あれ?ウインドーはあるけど店はどこだ?どうやらこのビルの2階らしい。ずんずんはいって鳥かごのようなエレベーターに乗って、あったここだ。でもウインドーは外だ、いつものように指をさして教えることができない。
雪子が欲しがってたのは‘ポリス’というメーカーのディフュージョン·ブランドで‘ヴォーなんとか’というやつだ。イタリア語はわからない。英語がしゃべれるかと聞いたら「イエス」と言われたので、とりあえずそのように説明してみる。「O.K.」と言って‘ヴォーグ’というブランドと‘ポリス’のサングラスを見せてくれる。「同じ会社のか?」と聞くと「NO」という返事。なんだ通じてないじゃないか。ディフュージョンというのが通じないんだなあ。なんて言うんだろう?雪子はそれでも満足そうに見ている。確かにかっこいい。
でも納得いかないちんみは「あたし、ウインドー見てくる」と言って出ていった。‘ヴォガート’じゃないかこんにゃろめ。お店に戻って‘VOGART’と書いてみせると、あーとか言いながら見せてくれた。そうだよ、これだよ。やれやれ。    (ちんみ)
 

まずサングラス、前同イタリアで買ったのはなくしちゃったので、また買おうと思っていたのだ。夜な夜なフラフラしていた時に目をつけていたお店へ行こう。
ビルの中に入って行くとなんだか眠科の待合室みたい、白衣のオジさんがいる。あぁ、ここはちゃんとした眼鏡屋さんなのね。ても私が欲しいのはサングラスなのよ。
「ポリスはないの?」と聞くと奥の部屋に案内された。「ポリスとそれのディフュージョンブランドね」ムム……通じない。ポリスは平気なのにディフュージョンが通じないらしい。
「なんかねー、Vからはじまるやつなのよー」Si,Siとか言って出してきたケースの中身をちんみが指さし「これはポリスと同じ会社のか?」と英語で聞いてくれた。「ちがうよ」え一っ、これじゃないのね。でもちょっといいみたい☆。
ちんみが外のウィンドーまで行って調べてくれた「VOGARTだよ」なんてスバラしい添乗員さん。キックバックもらってもいいくらいだよね。結局いろいろ見て買ったのはポリス。不良は不良らしい方がいいよと、しーちゃんとちんみおすすめの品。 (ゆきこ)
 

次、赤とグリーンのコップがあった店。ここだここだ。うーん、かさばるしなー。ということでパス。
リナシェンテへ向かう道すがら、下着屋を発見。
「めんどくさいから、ここで全部買っちゃう。雪ちゃんはリナシェンテ行ってて」
といよいよターボ全開で買い物を始めるちんみ。友達に頼まれていたパンツをおみやげ代わりに買う。
リナシェンテの地下、肩こりコロコロ売場で雪子と合流。
「やっぱりいいなぁ」しーちゃんも買う。 (ちんみ)
 

で、今度はリナシェンテ。ちんみとしーちゃんは下着屋さんでパンツを買ってくるというので、一人で先に行く。コロコロを買ってそばにあったストッキングを見ていた。
イタリアではヒップアップのストッキングが人気らしい。サイズがわからないのでやめておいたが円本に帰ってから見たピーチジョンのカタログに同じ物が載っていた。すごくキクらしい、今度行ったら買おーっと。
2人と合流、しーちゃんもコロコロを買ってリナシェンテの前からTAXIに乗りまたまたCampo dei Fioriへ、さっき閉まっていた靴屋さんへいくのだ。
シエスタも終わり街中すごい人だ。竹下通りのように混んだ道を人をかきわけ歩く。あった、あった、さっきの靴屋は大混雑、地元の民でいっぱいになっている。
やっばり安いねー、私も買っちやおーっと。
店員のお嬢さんはカワイイ、その上なんてよく働くんだろう。POLA出張にも連れていきたいと思うほどだ。マンフの担当なら間題ないだろう。
「あれとこれとそれとこっちのも出してね」よくサイズとデザインを覚えられるなあ、イタリア人の頭には今じやオカラがつまっていると思ってたのに私なんかよりズーっとカシコイ。こんな子もいるんだね、失礼しました。
しーちゃんと私はサンプルサイズの35なので良いがちんみはサイズがないって、かわいそう。でも私達の日本じゃ苦労するんだよ。しーちゃんはまたまた3足も買って大荷物。ちんみも無事ファスナー付きの靴をGET。靴を脱がない習慣のせいかファスナー付きは少ないね。(ゆきこ)
 

どうせならと、さっき買い損ねた靴屋へ行こうとTAXIで再びカンポ・ディ・フィオーリへ。ところがここもすごーい人。土曜の午後はローマ中の人が買い物してます。どこもかしこもすごい人です。しかし私たちには今日しかないのです、負けていられません。
さっきの靴屋を探し当てました。びっくり、超満員です。そりゃ町中すごい人なんだから、この店だってそうなんだろうけど、あまりの繁盛ぶりに目をまわす私たち。こんなの7~8年前のDCブランドが全盛期のバーゲン会場でしかお目にかかれない光景です。
「こんなに忙しくっちゃさー、さっき私たちを追い返したのもわかるよねー」
「うん、1分だって昼休み削られたくないよねー」
とさっき「けち」といってしまったのを反省する私たちでした。
それにしてもすごく忙しくて、さっきのお姉ちゃんが私たちに気がついてくれて「ちょっとまってて」といってくれたのはいいんだけど、ちっとも来てくれない。
ちんみはその間に兄ちゃんを捕まえて昼間に見た靴を指さし持ってきてもらう。が、サイズが合わない。これより大きいのはもうないと言われる。一からやり直しだ。
再びウインドーに戻って物色する。さっきの靴は29,000リラだった。今度目につけた靴は45,000リラだ。すごーく高いような気がする。
「ちんみどうだった?」
「さっきのはサイズが小さいの。で、これにしようかなと思ってるんだけど、高いのー」
「あらほんと、でもかっこいいじゃない。」
「そうだよ、ちんみずっと探してたんでしょ。ファスナーのやつ」
そうです。ちんみはずーとファスナーの靴を探していたんです。ひも靴はたくさんあるんだけど、どうもあれは面倒くさくていけません。前回なにげにイタリアで買った靴がファスナー付きで、その便利さがこたえられなくって今回もはいてきてしまったちんみです。
「よし、ちょっと高いけどあれにしよう」
「あ、ちんみお姉さん呼ぶならあたしの靴も、これとこれ、言っといて」
「あたしのもいっしょに言って」
おーい、やっぱりみんなも買うんかい。あんなに買ってもまだ買うんかい。
やっとさっきのお姉さんが捕まりました。
「いそがしいねー」
「イエ~ス」お姉さん疲れてます。でもいい子です。
「じゃあ、これとこれと、あれと、これね」
「はいはい、奥で待っててください」
次々と頼まれた靴を持ってくる。市場のマルコといい、今日は働き者のイタリア人にびっくりする日だ。これじゃでかいだの、小さいだのあれこれ言う私たちにいやな顔はしない。ただサイズがなかったりすると困ったような悲しい顔をする。なんていいやつなんだ。
「じゃあ、あたしはこれにする」
「O.K.ありがとう。ところでこれいくら?」
こんな働き者のお姉さんに嘘はつけない。45,000リラだ。カフェとかにはチップがあるのに、こんなお姉さんたちにはチップがないのはかわいそうな気がしてくる。それほどよく働くのだ。ところで45,000リラとは、3,150円のことである。念のため。
しーちゃんもいよいよターボ全開。
「カードは使えるのかしら?」
「大丈夫だって」
「じゃあ、これも買っちゃいましょう」とほんの3足ばかり購入。つられて雪子も1足購入。ほんとーに靴屋には魔物がすんでいる。 (ちんみ)
 

PM6:00 ナヴォーナ広場
ナボーナ広場へ行く。またもや日暮れ、あたりはまっくら。ちんみとしーちゃんにはお茶をしててもらって、私は夜の街を駆けめぐる。
VINO,VINO。アル中のオヤジのようにVINOを探す。目的にしていた店は飲み屋だった上にまだまだ開かない。仕方がないので他を何件もあたる。
VINO ROSSO,ブルネッロ ディ モンタルチーノ。
イタリア人は地酒好きなので自分の飲むワイン以外にはあまり詳しくない人が多い。「それはウマイのか?」オイ、オイ、お前酒屋だろう。ロッソ ディ モンタルチーノがあったBARBIだけどいいや。なんとか1本GET。
広場に戻る途中自然派化粧品のお店があったので入ってみる。ミホのお土産にリップクリームを頼まれていたので
「リップクリーム見せて」
「ないのよ」本当にないらしい。
「でもこのクリームとってもいいからちょっとつけてみて」
言い終わらぬうちに手にクリームを塗られる。レモンが入っているとかで結構良い。
でも急いでいるので
「ごめんね、いらない」と言って広場へ急ぐ。 (ゆきこ)
 

いやー満足、満足。とナヴォーナ広場へ。
ここへ来て食材担当の雪子にターボがかかる。ガイドブックによると、ここらにはエノテカと呼ばれる酒屋が多い。雪子は幻のワインを探して再び街に消える。
ちんみとしーちゃんは憑き物が落ちたように満足しきっている。広場のカフェでお茶を飲みながら雪子を待つことにした。土曜の夜だ。こないだよりも人が多い。お姫様の格好や、ピエロの格好をした子供たちがおじいちゃんやおばあちゃんにつれられて歩いている。なにかあるらしい。なんだろう?結局それは解らずじまいだったが、かわいかったので許す。

ナボーナ

「なんか、余裕な気分になっちゃったねー」
「うん、今日で終わりなのにねー」
「こんなとこでお茶飲んでていいのかねー」
「でもなんか、気持ちいいねー」
「楽しかったねー、また来ようね」
毎日早起きしたかいあって、本当に楽しく充実した5日間でした。ホントだったら大車輪になって駆け回っているはずの最終日のこの時間に、余裕ぶっこいてお茶なんか飲んでるあたしたちってしあわせ者です。
そんな私たちの横で日本人の娘さんが、カフェのオヤジに道を聞いています。めずらしい、こんなとこに日本人観光客が……。オヤジはこんな日本語で書かれた地図じゃわかんないと言っている、そりゃそうだろう。道は同じじゃんと思ってもアルファベットの国の人は漢字を見ただけで頭がクローズしてしまうようだ。
「どうしたんですか?」
「あーよかった、ここどこですかー?」
「ここ?ここはナヴォーナ広場。ここですよ」と地図を指さす。
「えー、ミネルヴァ広場じゃないんですか?」
そうだと思った。こんな所に来る観光客はめったにいない。やっぱり間違って来ちゃったんだね。
「どこに行きたいの?」
「えっとー、ホテルはテルミニ駅のそばなんだけど……」
そうでしょう。そうでしょう。
「それなら、ここから結構あるし、もう暗いから通りに出てタクシーで帰ったら?」
「でもあたしたち、スペイン階段のとこでいい両替屋見つけたんで、そこまで行きたいんです。手数料とられないんです。どっかこの辺にいい両替屋ありませんか?」
「両替は銀行の方がいいと思うけど、それにしても土曜日のこんな時間だしねぇ、キャッシュディスペンサーみたいなので両替できるのはあると思うけど、ここらへんはどこにあるかなぁ」
「そうですか、ありがとうございました」といって立ち去る二人であるが、その顔はもう大車輪のど真ん中。ターボ全開中である。
カフェからちょっと離れて地図に見入る二人。危ないなあ。ほら物売りが近づいてきた。なんとか追い払う。ここいらの物売りは観光地の物売りほどしつこくも、悪どくもなさそうだけど、なんかこういうお嬢さんたちを見ると、「襲ってください」といってるようでイタリアのみなさんにごめんなさいしたくなります。しばらく地図を見ていた二人は、そのうちに歩き出して行っちゃいました。どこへ行ったのでしょう。怖いなあ。(ちんみ)
 

しーちゃんとちんみはカフェでお茶をしていたが随分待たせたのでとてもとても寒そうだ。ごめんね。日本人のお嬢さん2人連れと話している、めずらしいね、こんなとこで。その子たちはスペイン階段の所に手数料取られない両替屋があったので行くと言う。キトクな人たちだ。私達よりずっとリッチに見えるのに、そんな所まで行ってからテルミ二に戻るんじゃ手数料払った方が安いよ。本当のビンボーはケチる所と払う所を考えるもんさ。(大いばり)(ゆきこ)
 

そうこうしているうちに雪子が戻ってきました。
「だめだ、エノテカたって飲み屋ばっかりだ」と不完全燃焼の様子。
まあしょうがない。ぶらぶらホテルまで戻りますか。
パンテオンのあたりをぶらぶらするのも今晩が最後。とうとうパンテオンの中に入れなかったね。ホテルの近くまで来て酒屋を発見。のぞいてみるとここがあたり。
ワインこれぞ雪子の探していた正統派エノテカ。幻の何百万円もするワインもあり、もちろんそれは買えないけど、同じシャトーの(イタリアでもシャトーというのだろうか?)ナントカ·カントカというのは見つかって、雪ちゃんご満悦。よかった、よかった。(ちんみ)
 

すっかり冷えきっているしーちゃんとちんみと一緒にホテルに戻ろうとすると、あっエノテカだ。ちょっと待った!
ギャーッあった。ビョンディ サンティだ、ここんちのを探していたのよ。ブルネロは300万円とかするのでROSSO DEにした、よかった。 (ゆきこ)
 

PM7:45頃 HOTEL NAZIONALE
ホテルに帰り着く。さあ、晩御飯だ。今日は最後の夜なので、豪華に近くのお魚がメインのレストランに出かける予定を立てていた。初めてちゃんとガイドブックを見て決めたお店だ。まあ混んでたら、近くの店に行けばいいやと予約は入れていなかった。ホテルに戻って部屋に入り、今日の戦利品を眺める。
詰める「今晩、これ詰めなきゃいけないんだよねぇ」
誰かが言ったその一言。今日まで考えないようにしてきた。毎日毎日たくさんかさばるものとか、重いものばっかり狙ったように買い物しながら、「なんとかなるさ」と一抹の不安を覚えながらも、真剣に考えたことはなかった。でも、今晩は真剣に考えなければいけない。
「のんびり、レストランでご飯なんか食べてていいのかなぁ。あたしたちのことだから、さんざん時間かかって、帰ってきたらデレーだよ」
その通りである。そんなことしてたら、朝が来ても詰め終わっていないに違いない。ぐずぐずしてはいられない。こんなとき我ながら男らしい決断力を持ってるなと感心してしまうが(強引ともいうけど)、
「中止。レストランは中止。部屋でお弁当にする予定のしーちゃんの日本食を食べよう。お弁当は、明日朝ホテルのレストランで調達しよう!」という班長さんの男らしい一言で、レストランはあっさり中止になりました。
詰める3考えて見れば、ろくなレストランには行っていないのです。初日のじぃーのところが一番のレストランだったかも。もちろん未練はあります。でも、そんなこといってられないほどの量なのです、3人が3人ともです。誰か一人ならナントカなるかもしれません。でも、これはあまりにも多すぎます。しーちゃんなんて靴が8足もあるのです。それだけじゃありません。ちんみは本の山だし、雪子は瓶詰めの王者です。(ちんみ)
 

詰める2靴にVINO、とても重いのでホテルに帰る。タ食はホテルて着替えて……の予定だったが、あまりの荷物の多さに中止。これでレストランなんて行ってワインで酔払っちゃたら、明日になんて帰れない。別に帰りたいわけじやないけどFIXのチケットは変更がきかないの。最後の晩餐はオニギリだね、機内食は朝食のときに確保しよう。 (ゆきこ)
 

そうと決まれば買い出しです。水とおかずを買いにBARにひとっ走りです。
ひとっ走りといいながら、外に出たのは雪子とちんみ。
「ちょっといい?」と言いながら店に入る雪子。
「おみやげ買わなきゃ。ネクタイでいいや」
「あいよ」
台湾か韓国のバッタ屋のオヤジが大量に買い付けていて、レジはパニック。
「ちっ、こんなときにやめてくれよー、あたしたちは急いでんだよー」
やっと買い終わり、BARに向かう。
「ちょっといい?」今度はちんみだ。
「あーやっぱり閉まってる」毎晩通るときには開いていたこの教会。いざ見ようと思って今日の昼間来たら閉まっていた。残念である。が、今はラッキーともいえる。

BARにつく。あれとこれと指さしながら、野菜とパスタといわしを買い込む。急いでホテルに戻る。何度も言うが、このウルトラご飯はホントにおいしい。おまけにこのご近所のBARのおかずもおいしい。いわしなんて、ちんみはずーと食べたかったけど、どこにもなかったのがこんなとこで食べられちゃってしあわせだ。
「今度来たときもこのホテルに泊まって、あのBARでご飯食べようね」と言わせちゃうほどおいしい。 (ちんみ)
 

水を買いに行こう!ちんみと2人で街へくりだす。ちょっとBARに行くだけなのにさっそくネクタイ屋に入り込む。ドラクエを教えてくれてた弟の友達に買ってやるのだ。アジアのバッタ屋が買付けに来たのかレジの前にネクタイを山積みにしている。私達には時間がないというのにお店のオバさんはパニックだ。お金、ピッタリ置いてっちゃおうよ、とちんみが言う。急いでいるのがわかったのかやっとお会計をしてくれた。
ネクタイ屋の次は教会、毎日この前を通っているのに、この教会には入ったことがない。ああ、閉まってるよ。残念。
BARに着いて水とタ食のオカズを買う、ちんみかずっと食べたがっていたsardine(いわし)とペンネ、野莱のゆでた物。なんだかとってもおいしそうだ。
ホテルに帰って楽しいタ食、あおいしい。このBARのお惣材はおいしいね。今度来る時もスペシャル・オニギリとBARのオカズでタ食しようね。 (ゆきこ)
 

PM10:30 大奮闘
楽しい夕食も終わり、さて一大イベントである。みな無言で格闘する。
………….。
「出来た!!」しーちゃん。
どれどれ、ゲッなんだこの重さは。
ここでちんみまるで怪談のように怖い話を始める。
「あのね、あたしもさ、超過料金なんて言葉は存在するけど、実際にはそんなことはありえないと思っていたのよ。だってそんなとこ見たこともないじゃん。ところがあたしの友達、こないだパリに行ったんだけど、そこで帰りに超過料金請求されちゃったの。まあ、10kg位のオーバーなら問題ないらしいんだけど、そいつはしこたまオーバーしてて、これは許せんてことになったみたい。1kgにつきファーストクラスの正規の料金の何%とかとられるんだって、さすがに適当なキロ数で許してもらったけど、それにしても5万円なんだって。そんなお金はないって言ったら、カードで払えます。て言われて泣く泣くカードで払って帰ってきたんだよ」
「うそー、そんなことあるの?」
「だっていつも大丈夫じゃん」
「いやー、あたしもそう思ってたんだけどさー、実際にとられたやつがいるとびびっちゃうよねー。用心するにこしたことはないじゃん」
ビンボー人の私たちには、何よりの脅しである。入ればいいやとばかりに詰め込んだトランクはやりなおしである。
それにしても重い。しーちゃんは本を抜いてみたらちょっと軽くなって、持ち上げられるようになった。
ちんみはこのときのために、それだけで重いトランクをやめて丈夫なズタ袋でローマに乗り込んだのであるが、そのかいもなくどうしようもなく重いので、あらかたの本は手荷物にすることにした。空港の中ではつらいが、手荷物は重さを量られることはない。
問題は雪子だ。どれも大したことないように見える。どれを抜いていいのか見当もつかない。でも重い。
「とりあえず、タイルだな」そう、あのタイルである。雪子が一番順子さんのとこに近いからと持たせたタイルである。まずこれを機内持ち込みのリュックにつめる。この前にすでにリュックには2本のワインが入っている。
次に「やっぱり瓶詰めだな、オーリオだ」とそれもリュックにつめる。こんなもんかとトランクを持つがあまり変わりはない。が、リュックは確実に重くなった。
リュックを背負ったらまっすぐ立っていられない。いや、まっすぐしか立っていられない。体を動かすとフラフラしてしまう。
「しょーがないよ雪ちゃん。もうこれでいこう。二人の分はかなり軽くなったから、一個ぐらいナントカなるでしょう」とあきらめる。後は眠って明日を待つしかない。後は空港でいかにのりきるかだ。 (ちんみ)
 

楽しい時間は瞬く間に過ぎ、恐怖の荷造りタイムが始まる。ちんみは先にお風呂に入ってくると言うので、しーちゃんの部屋で山と積まれた戦利品の数々をまとめることにする。
HA~、見ていると溜息がでてしまう。しーちゃんも真剣な顔だ。ちんみと交替でお風呂に入ってから全部の荷物を詰め終えると……スーツケースが持ち上がらない。
みんな荷造りの女王なので入れるだけならなんとでもなるけど、重さばっかりはどうしようもない。
ちんみとしーちゃんは重い本を抜いてちょっと軽くなっている。でも私は特別重い物なんてないのよォ。だって行きに20Kg超えてたから重い物買わなかったんだもん。
ワインはもともとリュックだし、あとは……タイルだ!順子さんへのタイル。それとオーリオやケッパーの瓶詰め、本でしょ。んー、もう重い物なんてないよー。
もうどうしようもない。リュックにだってこれ以上はいらないもん。
ちんみに聞いた恐怖の『超過料金物語』が頭の中を行進している。小心者の私はドキドキしていた。
でも開き直りも早いので、「やるだけの事はやった。」とスポーツ選手のようにちょっとすがすがしい気持ちで寝てしまった。なんとかなるでしょう。(ゆきこ)
 

詰める4
 

AM1:00 220号室
「あーあ、今日で終わりだね~」
「楽しかったね」
と話しながら、部屋で肩こりコロコロを転がしながら話すちんみと雪子。
それにしてもこの肩こりコロコロってなんて気持ちがいいのでしょう。誰かに力を入れてゴリゴリ転がしてもらったら、それは極楽。自分でコロコロ優しく転がしたら、それは天国。ほんとーにイタリアいちよいものだぜ。
盛ちゃんにも買ってあげればよかったなぁ。あの子こうゆーの好きだよなぁ。なんて考えてたら突然ひらめいた。
そうだ、あの車みたいな形をしたやつって、肩にはめてゴリゴリしたらいいんじゃないか?
コロコロ「ねえ雪ちゃん。あの車みたいなのあったじゃん。
あれってさ、こーやるといいんじゃない?」
「えっ?!……そーだよね、そーだよね、そーだよ!」
「そーでしょ、そーでしょ、そーでしょ!!」
「なんでちんみ今頃そんなこと言うんだよ」
「そーなんだよ。どーしてあのとき思いつかなかったんだろうね。あれは人にやってもらわなきゃだめだなぁ、みんな男いないしなぁ、こっちなら棒が長いから一人で背中じゅうとどくからこれだなぁ、としか思わなかったんだ。あのときって肩よりも腰が痛かったしさぁ」
「それにしたって、あたしなんかまたわざわざ買いに行って、しーちゃんも買って、ちっびっこの方は買ったんだよー、なんで買わなかったんだろう。」
「あー、なんか想像しただけで気持ちよくなってきた。だってさぁ、これが……こうなって……、こうだぜー。すっげー気持ちいいと思わない?」
「あー、もー、どーして?どーして?もうリナシェンテ閉まった?」
「もう閉まってるよー」
「明日は?何時からかな?」
「無理だよ、ピックアップが9時なんだよ。いくら何でも9時前にデパートは開かないだろ」
「えーん、悔しいよー。一生後悔するよねー。誰かイタリア行くやついないかな?」
「あたし、インターネットに加入しようかなぁ、リナシェンテ通販やってないかなぁ?」
「えーん、くやしいよー!!!」 (ちんみ)
 

コロコロ LEGNO&BENESSERE:木で出来たマッサージ器具。どうやら“木と幸せ”と言う名前らしい。が、私は密かにコロンナと呼んでいる。泊まったホテルとリナシェンテの間にコロンナ広場があったから。あとで調べたら、コロンナには「柱」という意味の他に「背骨」という意味もあった。
うん、偶然とはいえちょうどいい。
ちなみに、タグにはBenessere per il Vostro corpo私の訳が正しければ「あなた方の 肉体の幸せのために」
見掛けはなんてことのない物だが、使ってみるととてもとても、気持ちがいい。  もうイタリアいち良い物だと言っても過言ではないだろう。
リナシェンテのオリジナル・グッズだと思う。ROMAのリナシェンテで購入。
今後、イタリアに旅行する人は必ず買った方がいい。買わないと後悔するよ。

 

 

 

 

1月28日(日)晴れ

 

ナティオナーレ

 

 

AM7:30 最後の散歩
さあ、朝が来た。ちんみは早起きをした。昨日閉まっていた教会がどうも心残りだった。ホテルのすぐそばなので、一縷の望みをたくして出かけることにした。
しーちゃんも早起きだろうから誘ってみよう。やっぱり行くって。
「そうなると思ってたよ」と言う雪子を残して二人で出かける。 (ちんみ)
 

昨日の人混みが嘘のように静かな街。人なんか2人くらいしか歩いていない。昨日は何万人もいたような気がするほどいっぱいいた。なんか二人だけの街みたいで気分がいい。
ホテル前の広場から横丁にはいる。あら、こんな所にこんなゴージャスなカフェが。気がつかなかった。なんかローマいちゴージャスと行っても過言ではない、スペイン階段あたりにだって見かけないようなカフェだ。惜しいことをした。今度くるときは必ず寄ってみよう。
あ~あ、やっぱり教会は閉まっている。残念だ。しかたないから、散歩だ。
ちがう教会を見つける。なんでもいいから入ってみよう。大きな教会だった。予備知識が何もない教会なのでふんふん見る。天井がだまし絵になっていておもしろい。クリスマスの飾り付けがまだ残っていた。
「イタリアのクリスマスはねー、こーゆーの飾るんだよー。バチカンのところで壊してたのもたぶんこーゆーのの大きいやつだと思うよー」
「へー、かわいいねー」
なんて薄暗いなか二人で話していたら、お兄ちゃんが寄ってきた。
なんだろうと身構えていると、電気をつけてくれた。クリスマスの飾り付けに明かりがともった。よく見えるようになると、池や海まである。おまけに電動で水まで流れる。とっても豪華版だ。
「すごーい、かわいー」
と喜ぶ二人に気をよくした兄ちゃんは教会の解説を始める。天井がだまし絵になっているんだよ。うんうん、見たよ。そうか、それはよかった。ここの教会は聖OOOOが……。話が長くなりそうだ。おまけにそんな複雑な会話は解らない。
「ごめんね、あたしたち時間がないの、もう行かなくっちゃ。ありがとう」
と教会を出る。
「ラッキーだったねー」
「うん、お兄ちゃんもっと説明したがってたねー。でも、もう時間ないよ、早く帰ろ」
最後の最後まで、楽しませてくれてありがとう。(ちんみ)
 

AM8:00 さよならHOTEL NAZIONALE
おはよう。目覚めるとちんみがもう支度をしていた。昨日の教会が心残りなので行ってみると言う。きっとしーちゃんも行くだろうな、と思っていたらやっぱりだ。咋日の晩からそうなると思ってたよ。ゆっくりと帰り支度をしていつもの星占いのTVを見ていた。
そろそろかな、っと思ってたら電話が鳴って
「下のレストランにいるね。」
ちんみからだった。レストランて2人のお皿を見て
「機内食は2コなのね」
「うん」
早速サンドウィッチを作ってしまう。東北での経験がこんな所で役立つとは。
私としーちゃんは部屋に戻りちんみはフロントで冷蔵犀の精算。とことんビンボーでリラがなかったので、ちんみは冷蔵庫の水のためにカードをきってしまいました。  (ゆきこ)
 

ホテルのピックアップは9時なので8時には朝ごはんを食べる。飛行機は来るときと同じアリタリアなので、機内食を自分たちで用意することを忘れてはいけない。
しーちゃんのウルトラおにぎりの予定だったけど、ゆうべ食べちゃったのでレストランで調達だ。本当にパンのおいしいホテルで助かった。え~とチーズとハムをはさんで、一個じゃ寂しいな、2個作っとこ。
そりゃあもう日頃の巡業で鍛えた度胸で、ちゃあーんとナプキンにくるんで、バッグに入れてみなさんお上手に持って帰りますとも。
この日初めてこのホテルの食堂で、日本人の女の子二人組が朝食をとっているのを見た。
「いいな、これからローマか。うらやましいぜ」
「あの子たちにコロコロ頼んじゃおうかな……」
でも、愛想のなさそうな笑顔のない二人組だったのであきらめました。
さすがに今日はギンドロ組とともにミーティングをしている暇はありません。ちんみはキャッシャーに直行して冷蔵庫分の支払いを済ませます。
ついでに部屋からバッグをおろしてくれと言うと、「ごめんね、いま人がいないんだ」そーでした。ここはそーゆーホテルでした。一級ホテルなんですけど、そーゆーとこでした。やっぱりチップはいらないんだぜ。 (ちんみ)
 

さて、間題の大荷物。ポーターがいないらしく自分達で運ばなければなちなくなりました。エレベータ一はピッコロで3人分は入りません。なんとか下に降りて、フロントまでヨレヨレになりながら到着。途中の段差がキツイのなんのって、もうフラフラです。
ちんみがソファーでタバコに火をつけようとしていた頃、フロントのお兄ちやんが私としーちゃんに話かけてきました。
「空港までのタクシーは頼んであるのか」
「車が来てるぞ」
英語で話すので言ってる事はわかってもしーちゃんと私は返事ができません。お兄ちゃんはあきらめてちんみの所に行きました。
「雪ちゃん、こいつがお迎えなんだって」
お兄ちゃんの後ろにはもう1人愛想の悪い兄ちゃんが立っていました。
イタリア人のくせに時間通りにきてるぞー。だったら荷物くらい車に入れろよー。ちょっとムッとしたので隣のポストにハガキを入れにいったりしてダラダラする。ちんみなんてタバコすっちゃおーっと火をつけていた。  (ゆきこ)
 

部屋まで戻って
「兄ちゃんいないから自分たちで降ろせって」
「え~」
降ろせってって、これが、もう、まっすぐ進まないんだからトランクだって。何度も上がったり降りたりするのはイヤだから、みんなヨタヨタしながら押して、背負って、担いで、抱えてエレベーターへ。
「一回じゃのらないね」
これがまた小さいエレベーターなんだ。普段だって4人も乗ればいっぱいなようなやつなんだ。
「じゃあ、あたしは後から行くね」とちんみ。
ちんみが戻ったエレベーターに乗って下まで行くと、二人はまだエレベーターから2mのとこでヨタヨタしてます。そうだ、このロビーには段差があったんだ。ほんの3段くらいの階段がいまの私たちには万里の長城だぜ。
1個のトランクに3人がかりで階段を押し上げ、ふ~一服しようとロビーのイスに座ると、火をつけるまもなくフロントの兄ちゃんがやってきた。
「お前たち、空港までタクシー頼んでんだろ?」
「いや、タクシーなんて頼んでないよ。うちはエージェンシーが車を手配してくれてるから」
「だから、そのタクシーが来てんだよ。彼だ。」
「え?彼?彼ってさっきからずーとロビーにいたよね?」
「そう、その彼だ」
だったら、なんであたしたちがひーこらいってるのを手伝わないんだ。なんでずーと黙って見てんだ。なんて役たたずなやつなんだ。
とちんみが思っているのを読んだかのようにニヤニヤしながら、
「どうする?大丈夫か?」
「It’s  O.K.」
とは行ったものの、なんか頭に来ているちんみはイスに座ったままたばこに火なんかつける。
「わかったのか?」
「It’s O.K~. 雪ちゃん。この手紙出しちゃいましょ。ポストあったよね。」なんて言いながらぐずぐずする。だって頭に来ちゃったんだもん。
ちんみがようやく立ち上がったので、フロントの兄ちゃんも運転手の兄ちゃんも荷物を車に積み始める。その間も運転手の兄ちゃんは無言だ。挨拶くらいしろよな。なんか頭に来てるので、またしてもフロントの兄ちゃんにチップをあげなかった、ような気がする。はいはい、バイバイ。あっけない別れだ。 (ちんみ)
 

AM9:00 華麗なドライブ
車は走り出した。毎日歩き回ったおかげで来るときはぜ~んぜんわからなかった道も、いまは観光案内ができる。ほら、パラティーノの丘だよ、フォロ・ロマーノだ、あっちはコロッセオだよ。チルコ・マッシモだね。わーん、これでローマともお別れだね。
しーちゃんがガムをくれた。
「お兄さんも食べるかな?」
「食べるんじゃない? ハイ」ちんみは助手席だった。
「ありがとう」
な、なんだこいつは?やけにすばらしい発音の日本語だ!!!
「もしかして、日本語ペラペラなんじゃない?」
「いるんだよね、しゃべれるとわかるとうるさいからって、しゃべれないふりするやつ」
と言う私たちの会話を知ってか知らずか、このあたりから兄ちゃんなんとなく和んでくる。ジプシーを指さして「ジプシー」なんて言ってる。それにこいつの運転って上手だ。石畳ばっかりだし、すごいスピードなんだからガタガタいうのはしょうがないと思っていままでTAXIなんか乗ってたけど、なめらかにも走れるんだ。
「このお兄ちゃん、運転うまいね」
「ホントだよね。イタリアの道でもこーやって走れるんだね」
「毎回指名したいぐらいだよね」
「イタリアってホントに道も凸凹だけど、運転が荒いよねー。それなのにさー、これはいいよ。こーゆーじょうずなの指名したいよねー、ほら、ナニーニなんかさ、もうF1ドライバー出来ないんだから、こーゆーのオプションで頼めたりするといいよね、空港からホテルまで、F1レーサーがお送りしますとかいって」
「あら、失礼しちゃうわね、ダーリンまだ走ってんのよー。F1じゃないけどさ」
ずうぇ~ったい、やつは日本語が分かってたにちがいない。
だってこの後から妙に機嫌がよくって、意味もなくなんだっけほら、車の屋根についてる窓あるでしょ、あれを開けてみせたりしてんだもん。
あたしたちが「お~!」なんて喜んでみせるもんだからますます機嫌よくって、高速のってからなんて、ぶりぶりとばしてあっという間に空港ついちゃったんだから。
おまけに車止めて荷物を下ろしてる間に、ちんみはカートを取りに行ったのよ。そんでカートを押して戻ってきたらそいつったらもう車を出発させてやんの。あわてて車をばんばんやって止めてやったわよ。だって、彼の送り迎えの分のバウチャーまだ渡してないのよー。
にこにこしながら「ありがとう」だって。雪ちゃんとしーちゃんだってチップ渡したんだよ。初めてよね、にこにこしてチップ渡すなんて!やられたぜ、やつは本物のイタリア男だ!!なんてテクニシャン!!!  (ちんみ)
 

車に乗り込みHotel Nazionaleを後にする。あーもう帰るんだねー。楽しかったねー。
目印のエマヌエレ2世記念堂の横を抜けフォーリ・インペリアリ通り、サン・グレゴリオ通りを通って空港へ向かう。ローマの地図をさんざん見ていたおかげで、来るときにはさっぱりだった道も今じゃわかるようになったのさ。
それにしてもこの兄ちゃん運転うまいね。ひとみしりだったのか愛想も良くなってきた。ガムをもらっての「ありがとう」の返事だって完壁な発音の日本語だ。
高速にのるとサンルーフまで開けてみせるサービスぶり、きっと私達が話していた
「ローマでもこんなに上手に走れるのねぇー」
「F1ドライバーやめたナニー二がオプションでピックアップ」
なんて言葉がわかっていたに違いない。ガンガンとばすので空港はもうすぐ、窓の外にはホテルが見える。ツアーで来てたらこんなに街中から離れた所に泊められちやうかもしれないんだ。あーNazionaleで良かった。
なんてことを思っているうちにフィウミチーノ空港(別名Leonardo da Vinci空港)に着いた。
兄ちゃんが荷物をおろしている間ちんみはカートをとりに行く。仕事が終わった兄ちゃんがニコニコしていたのでしーちゃんと相談してチップをちょっと多めにあげた。「ありがとう」またしても完壁な発音だせ。車に乗り兄ちゃんが帰ろうとした時、ちんみが戻ってきた。
「チップなら渡したよ」
「ダメ、ダメ、バウチャー渡してないんだから」
兄ちゃんは危うくタダ働きするとこだったのだ。あーイタリア男ねぇ、あんまり頭は良くないみたい。車を止めてちんみがバウチャーを渡すとニコニコ愛想良く帰って行った。(ゆきこ)
 

AM9:45 フィウミチーノ別名レオナルド・ダ・ヴィンチ空港
さて、いい気分になっているときではない。私たちには最後の難関が待っている。「超過料金」この言葉が頭をよぎる。空港の中に一歩入ったとたん緊張する3人。
「えーと、どこだ?」
「いーいッ、女に優しそうなオヤジのとこをさがすのよ」
「あっ、あの人がいいよ」
「おー、いいじゃん、いいじゃん」
よいしょ、よいしょ、カートを押す。
「だ、だめだ。ここはエア・フランスだ」
さすが、フランスである。イタリア男と二分する女好きのお国柄。見事に女に甘そうなオヤジなのにー、ちくしょー。
「えーん、アリタリアがないよー」
「あ、あそこだよー」
よいしょ、よいしょ。
「えっ、ここは日本行きじゃない?」
「どこだよー」
「すいません、成田行きはどこですか?……21番だってー」
エー、21番?どこだ?あそこだ! げっ、シビアそうなおじさんじゃん。イタリアにもこんなやついるのかよ。さんざんへらへらしてたくせにー、なんでこんなときだけまじめなやつ登場させるんだよー。
無言で列につき、無言でチケットを渡す。ちんみの荷物を一つだけ、半分はみ出させて台に乗せる。「16Kg」目配せして確認しあう3人。
「荷物は1個だけなの?」
「いえ、3個です」
「全部のせて」
どきどきどきどき。台のベルトコンベアーが進む、しーちゃんのトランクをのせる。うっ「67Kg」おじさんがちらっと見たような気がした。ベルトコンベアーが進む。雪子のトランクをのせなければいけない。あっちんみのバッグはもう向こうに落ちちゃった!大丈夫だ!!3個いっぺんに重さが量れないじゃないか!!!3人は無言。おじさんも無言。………..。
「はい。」おーっ!!!ボーディングパスが手には入った!もうこっちのもんじゃい!
にこにこしてパスを見る。禁煙だ。超過料金のことばっかり考えてて、リクエストするのを忘れていた。
「あのー、スモーキングが欲しいんだけど……」
「オワッタ」
やられた、やっぱりこいつも筋金入りのイタリア人だった。あーやっぱり心にやましいことがあると、人間弱気でいけない。いつもだったら、
「エー、ちゃんと探してよー、1っ個でもいいからさー」
とかいってごねるとこだが、そそくさとカウンターを離れる。
「たばこ吸える席ないんだってー」
「えー」と言う雪子の声も心なしかパワーがない? (ちんみ)
 

さあ、これからが最大の難所、最終イベント『超過料金突破』だ。
「カウンターが女の所はダメよー」
「甘そうなオヤジの所をさがすのよー」
でも最初にさがさなくてはいけないのはアリタリアのカウンターだった。
「ここはエア・フランスだし」
「ここは?」
「国内線だよ」
奥へ進むと日本人がたくさんいる。
「これだあ」
なんだか“しかめっつら”のオジさんが手続きをしていた。ゲッあぶないかもしれない。
列に並んでドキドキする私達。ちんみがチケットを出した、まずちんみの荷物をのせる、そしてしーちゃんの、私の。あれ?全部のらない、みんなでっかい荷物なのでスーツケースがはみだしてしまうのだ。ベルトコンベアーが動いて私のがのると、最初においたちんみの荷物は反対側におっこちて流れて行ってしまった。
あー良かった、3つまとめて量るのは無理なのね。足算なんて出来ないイタリア人。「O.K.」だったか「Si」だったかわすれたが、とにかく合格だったのね。
安心したもののNon Fumatoriの席しか空いてないと言われてしまう、まあ、3人並んでるからいいか。気が抜けて文句を言う気もおこらない。  (ゆきこ)
 

まっ、しょうがないさとイミグレーションに向かう。来るものは拒まずなんだから、去るものなんか追うわけがない。パスポートを開けもしないで通り抜ける。
3人とも重ーい荷物を持ったままなので、このままでは楽しい免税店歩きはできない。確かあっちにベンチがあったはずだ。
「ハイ、荷物はここに置いて、わたしが番をしているので、二人で行ってきなさい。30分たったら交代だよ」
「は~い」
と雪子としーちゃんは出かけていった。
ちんみはやっと本当に安心して、たばこを一服。ふう~。
よかった、よかった。超過料金を取られることもなく、しーちゃんが行方不明になることもなく、みんな無事で旅行が終えられそうだ。おもしろかったなぁ、また来たいなあ。なんてぼーっとしている。
こんなときのちんみは、まぁただでさえ怪しいのは自分でも認める。だが、どっからどう見てもザ・日本人だと思うんだけど、他人様には国籍不明に見えるらしい。デューティー・フリーからおばさんたちが出てきて、目の前のベンチにすわる。
「あー、びっくりしたねえ。なんでも高いねー」 (そーでしょ、そーでしょう。)
「ああー、またこんたらお金でお釣りもらってしまった。どーするべーこれ」
「もう買うもんもねーからさー、円に換えてもらった方がいいんでねえの?」
「そーだねー。どこで換えてもらうんだべか?ガイドさんはいねえべか?」
「いねーなー、だれかさ聞いてみるべか」
「うんだねー、このねーさんさ聞いてみるべか、わかるべか?」
「あんたー、このねーさん日本人でないっしょー、言葉わかんないよー」
目の前で、こんな会話を交わされればまあふつうは、
「いやいや日本人ですよ、両替なら………」となるところだが、すんげーセンスのおばさんたちだったので、意地悪して黙っていた。全然知らんぷりしているちんみをみて、
「ほらー、やっぱりわかんねんだよー」
「そーだべかー、そーだねー。あーOOさんだ、OOさーん」
と言って行ってしまった。あたしって悪い子?でも、他人様の面倒までみてる暇はないんだよ。
そうこうしてるうちに雪子としーちゃんも出てきた。
「えーん、ここじゃなんにも買えないよー」
そりゃそーだ。君たちはリラなんか1,000円ぶんも持ってないんだから。
「あっちにもっと安いもの売ってる店あるよ」
「ちょっと行って来る」
やがて、きれいにリラを使い果たし、手にあめ玉を抱えた雪子が戻ってくる。
「へへへ、こんだけ買えた。しーちゃんももうすぐ来るから、ちんみ行っておいでよ」
「うん、じゃあ行って来るね」 (ちんみ)
 

出国審査なんてないようなもの、中に入るとまっすぐベンチに荷物を置きに行く。
「はあー。」
ちんみに荷物を見ててもらってしーちゃんと2人デューティー・フリーへ。
「ネクタイ買おう」しーちゃんもやっと他人のおみやげを買う気になったらしい。
[20000リラぐらいでないかな」とそばにあったネクタイを手にして
「わー高いっ!」おいおい、そりゃベルサーチだよ。
1400円でベルサーチが買えたらラヴィ・ドールのフェアで売って大もうけしちゃうさ。ここには私達が買えるネクタイはない。ほかのお店に行こう。
本屋さんで私がレストラン・ガイドに見とれているとしーちゃんが「あっちの店に行ってる」と言うので別行動。日本円にして3000円ぐらいの本が今の私には買えない、ここで両替するのもくやしいので、あきらめてちんみの所に戻る。
「なんにも買えないよー。」
「あっちにもあるよ」
「じゃあちょっと行ってくる」
フラフラしていたら計り売りのお菓子屋さんがあった。どうやって買おうかな、ひとつ手にとって「いくら?」オジさんは計りに乗せて値段を教えてくれた。ふふん。「これ、これ」とお菓子を指さし手を広げて残りのお金全部を見せる。
「Si」わかってくれたようだ。袋にお菓子を詰めてもらって、ちんみの所へ行って交替。(ゆきこ)
 

わっはは、ちんみはお金持ちだ。2,000円はある。ブルジョアぶりを発揮して、みんなが驚くものを買ってやろう。とは思うが、買うものはなんにもない。
お店の数は結構あるけど、直前までビンボーモードだった人間が、「まあ、いいかこんなの買っておこうか」と思えるものは、何もない。あと2、3個おみやげを買っておいたほうがいい気もするけど、しょうがない。ミラノでトランジットもあることだし、そんときにまた見よう。
のどが渇いたので、ちびっ子たちにもジュースでも買ってやろう。 (ちんみ)
 

ちょっとするとしーちゃんがチョコレートを持って帰ってきた。たくさん持ってレジに行ったがお金が足りないので、いくつか取上げられたと言う。なかなか貴重な体験をしてきたね。小銭が余っていたので、さっきの計り売りのお菓子屋さんでの買物方法を伝授する。
「いってらっしゃい」
しーちゃんが行ってしまうと、まわりには日本人のオジさんの団体。六甲のオニギリを食べ始めていた。
「水はなんていうんだ?どこで売ってるんだ?」
「ミネラル・ウォーターだろ」
ふふん。アクア・ミネラーレだよん、などと思ったがかわいそうなのでおもむろにサングラスをはずし
「そこのバールで売ってますよ」と教えてあげた。
「バール?ああ、バーですか、あなたはイタリア語がペラペラなんですね」なぜじゃ?
「いいえ、全然しゃべれませんよ」と正直に言うと
「でもどこで売ってるかわかるじゃないですか」なんか変な人達だ。
オジさん達はヒマらしくいろいろ話しかけてくる。
「卒業旅行ですか?」
「違いますよ、あっ、しーちゃんがきた」
「確かに違いますな」
オジさん達はお金持ちらしい。ロンドン、ローマ、ジュネーヴ、パリという行程で旅行中だ。各都市に2、3日しかいないと言うのをしーちゃんが聞いて、
「それじゃあ、なんにもわかりませんね」などと恐れを知らぬ発言をする。その上「私達とってもいいホテルに泊まってたんです」そりゃー私達にはすごくいいホテルだったけどね。私が
「星は4つなんですけど、とっても便利な場所にあったんです」とフォローすると
「ああ、僕達は4つ星以下のホテルは利用しないんです」といわれた。かわいげのない奴らだ。
「お泊まりはどこだったんですか?」
「シェラトンです」
しーちゃん、空港に来る途中あったあのホテルだよ。
「あーんな所じゃ、どこにも行かれませんよね」
(活字にするとケンカごしだが、とても和やかに会話している)
オジさん達は毎日マズイ物を食べているらしく、ヨーロッパは食事がマズイと嘆いていた。
「おいしい物だっていっぱいありますよー、注文の仕方ですよ」などと言ってると今度はオジさんの反撃だ。
「僕なんて随分お金を使っちゃてねー」私達がビンボーだと見破って
「昨日もカードで10万円ぐらい使いました。帰るまでにいくら使うかなあ」なんて言ってくる。
「じゃあ、オデコにカード貼って歩けば怖い物なしですね。」
なんども言うようだが、こんな会話を和やかにニコニコしながらしているのだ。
ちんみが帰って来た。
「あっ、これが私達の親分でーす。」
オヤジ達はJALの搭乗口へと去っていった。
「お気を付けて、いってらしゃーい。」
私もしーちゃんも一文無しなので、ちんみがジュースを買ってきてくれた。サスガ親分、気がきくぜ。ちんみはミラノもあるからとお金を残しておいたのだった。(ゆきこ)
 

「ほーら、おごりだよん」
「あっ、親分が帰ってきた。これがあたしたちの親分でーす」
しーちゃんと雪子は変なオヤジの団体と話をしている。
「おー、さすが親分ですな。この親分がついてれば心配ないですねー。じゃあ、僕たちはこれで。お気をつけて」
「そちらこそ、お気をつけてーいってらっしゃーい」
…………….。
「なんだ、あのおやじたち?」
「なんか大金持ちの団体だぞー。六甲でおにぎり作らせたんだって。アリタリアはまずいなーて言ってた」
「六甲でおにぎり?全員分?ヒエー金もちー」
「うん、これからスイス行くんだって」
「いーなー」                                                           (ちんみ)
 

六甲:‘濱清’と並ぶローマの高級な日本食レストラン。もちろん高い。もちろん私達は、足を踏み入れたこともない。

 

PM1:00 離陸
さて、アリタリアである。ローマ発アリタリア航空788便はAM11:50出発である。でも、アリタリアである。その時間に出発できるわけはない。
12時を過ぎてもゲートが開かない。ちんみはさっきのベンチまで一服しに行ってしまう。戻ってくる、まだだ。
「えーん、こんなことならリナシェンテ行けたのにー」
ほんとーだ。リナシェンテ行って、あのゴージャスなカフェでお茶飲んだってまにあうぜ。頼むよアリタリア。(ちんみ)
 

さあ、搭乗口へ行こう。重い荷物を持って搭乗口に着いたが全然開く気配がない。しばらく待っても開かない。ずーっと待ってもアナウンスすらない。さすがアリタリア時間通りには飛ばないらしい。
「あー、この時間があればリナシェンテでコロコロが買えたのに」(ゆきこ)
 

あーやっとゲートが開いた。のる前からくたびれた。まあ、乗ってしまえばさっさと出発。うとうとしてたらミラノだ。
「降りれるかなー」
「来るとき降りたんだから、降りれんじゃない?」
「なんにも言わないなー」
アナウンスは、もうすぐミラノに着きますありがとう。またのご搭乗をお待ちしてますしか言わない。なに言ってんだ、もう乗りたくないよ。でも成田までは連れてってもらわなきゃなー。
「ミラノからのお客様が乗り込まれるまでのあいだ、成田まで行かれるお客様は………
機内でお待ちください」
がっくーん。降りれないぞー。おみやげ買えないぞー。つまんないぞー。
もう、寝るしかないなあとは。
再びミラノを飛び立ち退屈な時間が続く。おーや機内販売の時間だ。
しーちゃんここで持ち前のパワーを発揮して、来るときから目を付けていたバッグを買いに走る。来るときは「これで1万円かー、安いよねー、かわいいよねー」とみていたバッグもいまじゃなんかとっても高級な代物に見える。しーちゃんは機内はイタリアのお小遣いに入らないと決めているので、頭の切り替えが早い。買い損ねたネクタイもおみやげに買う。あら、やっぱりかわいいねそのバッグ。あたしも買おうかしら?私たちも遅ればせながら、頭が切り替わる。でもこれは1個しかないらしい。残念。
わーい、機内食の時間だー。おもむろにお弁当を取り出す3人。おいしーぞー。ありがとう、ナッチョナーレ。
毎日の疲れがたまっていたので、よく眠れた。どこへ行っても帰るときはこうだ。来るときよりずーと早く感じる。だからあのつらさを忘れて、また来てしまうんだ。これは出産のようなものか?ともかく、毎日楽しかった私たちの旅も本当に終わってしまった。
無事、成田に着いた。ただいま。(ちんみ)
 

 

 

おわりに

お疲れさまと成田に着いたら、さっさと荷物は宅急便して、余韻を残して滑走路を眺めながらお茶だ。
お茶の予定だったけど、ラーメンも食べちゃった。3人ともメニューをいちいちリラ換算してたまげる。
「ひぇー、トロッポ・カーロだー」
後ろの席のお姉ちゃんたちの話を小耳にはさむ。どうやらこれから韓国に行くらしい。いいなあ、あたしたちも行ったよなぁ、あたしたちはいまローマから帰ってきたところだ。さんざんなアリタリアに乗って。
でもいますぐにでも、許されるなら再び旅立ちたいところだ。韓国だって、イタリアだってどこだっていい。心の底から「いーなー、あたしも行きたいなー」と思う。旅って不思議だね。
また、行こうね。    (ちんみ)

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